上写真=永井謙佑と渡邊凌磨が明るく、しかし熱くチームの進化について語り合った(写真提供◎FC東京)
2人のコンビが最高だった神戸戦
――アルベル監督を迎えてスタイルを刷新しているシーズンも、後半戦に入っています。仲のいい2人のプレーの関係性において、ここまでで印象的なのはどのゲームでしょうか。
永井謙佑 神戸戦かなあ、やっぱり(4月6日・第7節◯3-1)。
渡邊凌磨 僕がサイドバックをやってるときの方が楽しかったですよね。
永井 神戸戦はそうだったもんね。攻撃に厚みがあって終始ボールを持ちながら、先に点は取られちゃいましたけど、やっていて楽しい実感がすごくありました。
渡邊 僕は前の方のポジションをやったとしても、基本的には出し手に回ることが多いんですけど、サイドバックはまたそれとは違う意味での出し手という感じです。後ろからビルドアップして、ボールを配る場所や前の選手の動くタイミングが変わっていく中で、永井選手と縦関係で組んでいると、攻撃で自分のやりたいことと永井選手がやりたいことが一致したときにいいプレーができて、楽しかったですね。
永井 キャンプからずっとサイドバックは凌磨だったんですよ。描いている絵が一緒で、キャンプからの蓄積でやっていたので、凌磨がこう動く、じゃあオレはこう動けば崩せる、というイメージが出来上がって、信頼しています。凌磨はそこでかわせるから自分はここに入ればいい、というように、神戸戦もワンタッチでかわしたりドリブルで運べていたので、僕はそれほどサポートに回らなくてよくて、だから深い位置でプレーできていました。
――本当にこの試合はコンビネーションが冴え渡っていましたが、その一つ、40分に渡邊選手が送った右からのセンタリングから、永井選手が狙ったシーンがありました。ニアサイドでキーパーとディフェンダーの間に入り込んだ永井選手への高速クロス。残念ながら決まりませんでしたが、それこそ描いた絵が一致して、2人の信頼や感性が表れた一瞬でした。
永井 キーパーにはじかれてしまったシュートですね。
渡邊 もっとあそこに合わせる能力、キックの技術をつけなければいけないし、僕のキックミスで逃しているチャンスもこれだけではなくて、まだまだあります。あそこは常に狙っていきたいと思っています。得点を量産するフォワードは必ずあそこに入ってきてくれるんです。永井選手がちゃんと入ってきてくれているということは、お互いの狙いが伝わり合っているということなので、あとは僕が合わせるだけでしたね。
――永井選手に対して「決めてくれよ」ということではなく、自分自身が「合わせられなかった」という悔いが残るんですね。
渡邊 守備に戻ってきた槙野(智章)選手に触られそうにもなって、当たらないようにと自分としては実は苦し紛れに蹴っちゃったところもあったんです。永井選手にはちょっと難しくなったかもしれませんね。足元に入る感じにもなってしまって。
永井 ニアに斜めに感覚で飛び込んでいって、シュートは枠に飛ばそうと思って、槙野選手が前にいたので左足でしっかり面を作って当てようとしました。入ったと思ったんですけどね。逆にしっかり当たりすぎてキーパーにも反応された感じです。少し当たりそこねる感じであれば、ワンバウンドしてキーパーのタイミングをずらせたかもしれないけれど、当たりすぎて反応しやすそうでしたから。