「凌磨はワイドの方がいいね」
――渡邊選手にとってFC東京の2年目、永井選手は実に6年目のいま、アルベル監督が就任して、新しい歴史をスタートさせています。「ボールを愛する」というような印象的な言葉で選手やサポーターに語りかけていますね。
永井 ボールを大事にしたいということは、ずっと言っていますね。選手を育てるというところに長けている印象です。
――渡邊選手はアルビレックス新潟でプレーしていて、モンテディオ山形に移籍したあとに新潟の監督に就任したアルベル監督とは入れ違いになったとはいえ、当時の新潟のチームメートから話は聞いていたと思います。
渡邊 ちょうど入れ違いになったけれど、そのころから聞いていました。まさか一緒にやることになると思わなかったので、びっくりしました。自分には合っていると思いますし、いろいろなポジションをやりながら、いろいろなプレースタイルを試しながら、監督が選手に寄り添ってくれた結果なのかなと思っているので、すごく感謝しています。
――サイドバック、インサイドハーフ、ウイング。それも左右とも。本当にいろいろな場所でプレーしていますが、永井選手との関わりで言えば、どんなプレーを出せていますか。
渡邊 最近はインサイドハーフでプレーすることが多いですけど、永井選手が逆サイドにいてもボールを配球できるシーンはかなりあるんです。タイミングは合っているので、僕が出すか出さないか、通せるか通せないかの部分になってきます。僕がちゃんと見ることができれば、得点になるチャンスは本当にたくさんあるんですよね。映像を振り返りながら、ここは出せたなとか、背後に蹴っておけば追いつけたな、という場面がたくさんあって。サイドバックのときのコンビネーションのイメージはできていると思うので、インサイドハーフでもそれを生かして点につなげるだけだと思っています。
永井 凌磨はワイドの方がいいね。ワイドから中に入っていく方が相手が捕まえにくいから。自分がどちらかというと外に張って幅を作るように言われていて、スペースを開ける係だけど、凌磨の場合は中のスペースに入ってきて前を向けるから、そのタイミングがうちの攻撃のスイッチになっています。
凌磨だけではなくてそこで受けられる人が増えれば、もっと迫力のある、破壊力のある攻撃になっていくと思います。いまはまだそこで前を向ける選手が少なくて、研究されてしまうと行き詰まることもあります。いまは、良くなってトーンダウンしてまた良くなっていく、というサイクルですね。
――後半戦ではその部分のブレイクスルーが進化のポイントになりそうですね。
渡邊 僕が内側に入ってはまるときって、相手のボランチが2枚のときなんですよ。3枚だと僕がそこにいることを利用してくれる選手が周りにいて、連動していく必要があります。4-2-3-1の相手には勝てているけど、アンカーとシャドーが2人の場合には苦労したりします。やりづらいというよりは、なんでこんなにうまくいかないんだろう、と思うことがありますからね。
永井 ポジショナルプレーですから、ポジションに立っているじゃないですか。そうすると、ほかにも相手が3-4-3のときでもちょうどいい具合の立ち位置になって、スペースを埋められてしまうんですよね。そのときに裏に行くのか足元でつなぐのか、どっちなの? という感じになってしまって、行き詰まってしまうことがある。
――そこを突破する瞬間を、私たちは後半戦で見ていけばいいですね。
永井 いま、3バックの相手に弱いというのは間違いないので、みんなでどう立ち位置を取ってはがすのか、そこをクリアできればもう一段階上に行けると思っています。そのためには、やはり同じ絵を描けないと。自分と凌磨というような2人の関係だけではなくて、母数を増やしていくことが必要です。練習でもみんなで共有しようとずっと言っています。みんなが同じ崩し方を描いた上で、それぞれの個性が発揮できるので、3バックや5バックの相手にどう崩すかをしっかりやっていきたい。