AFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループIで首位に立った川崎フロンターレは4月27日、韓国の蔚山と第5節を戦う。勝ち点1差に迫る相手から勝利を奪うために、鬼木達監督は「すべてを注ぐ」と決意する。5-0で圧勝したJDT戦では、小林悠、家長昭博、脇坂泰斗の活躍が目立ったが、果たしてどんなメンバーで勝負のときを迎えるのか。

上写真=鬼木達監督は蔚山戦へ「全員が準備してくれているのでいろいろな選択肢がある」(写真◎スクリーンショット)

「あの一発が大きく試合を動かした」

 ACL第4節で地元のJDTに5-0で完勝。さすがのチーム力を見せて首位に立った。鬼木達監督が大きな信頼を置く3人の選手の活躍が顕著だった。

 まずは先制ゴールの脇坂泰斗だ。この大会では2試合目の先発だったが、14分に鮮やかなFKを決めてチームを勢いに乗せた。

「あの一発が大きく試合を動かしたと思っています。結果という意味で本人もすごくホッとしているところもあったと思います。今シーズン、いろいろなプレッシャーの中で戦ってきたと思うので、得点というところは僕も求めているし本人も結果として残したいと思っていただろうから、非常にいい形で出たと思います」

 中村憲剛の背番号14を引き継いだシーズンで、脇坂自身もこのゴールで「やっとチームの一員になれた」と謙虚に語ったほど、ここまでのプレーには満足していなかった。だから、鬼木監督はゴールだけではなく、そこからのプレーぶりに目を細めるのだ。

「そのあとの彼自身のプレーに自信をもたらしたと思います。あの得点はチームにも、本人にも余裕を与えてくれたと思います」

 77分に交代するまで、トランジションの鋭さでボールを奪い取り、危険な場所にボールを配り、2点目を生んだようなリズムカルなワンタッチパスが冴えた。まさに大黒柱になった。

「今後も楽しみにしていますし、でも、本当は結果が伴わなくても一喜一憂せずにプレーする精神状態になっていけばいいですけどね」

 信頼するからこそ、鬼木監督の要求は高い。その点で、このチームのナンバーワンは小林悠だろう。同じく今大会の先発は2試合目で、センターフォワードとしては今季初のことになる。小林はその絶好の機会をつかみ取って、2ゴールだ。

「やっぱり自分の中で違いを見せられる選手だと思っています。こういうときにやってくれるのが悠だろう、という思いがある。信頼していて、頼むねという感じで送り出せる選手です」

 センターフォワードのポジションはレアンドロ・ダミアンがいて、知念慶も急成長。競争は激しい。小林自身も心得てはいるが、「ここで結果を出さなければ、サイドでのプレーでも仕方がない」という決意でピッチに出た。

「やっぱり気持ちが表れる選手に引っ張られていくので、そこで出せるのが彼の良さですし、自分だけではなくて選手からの信頼も厚いところです」

 そしてやはり、家長昭博である。その存在感たるや、改めて強大であることを示した。初戦の蔚山(韓国)戦でフル出場したあと2試合はベンチ外で、満を持して勝負のJDT戦で先発起用した。2点目と3点目はいずれも右からの崩しだが、家長がボールを収めたところで山根視来が、脇坂が、小林が動き出して連動した理想的なゴールだ。

「試合を見た人なら誰にでも伝わると思いますが、違いを完全に出せる選手です。そこの安心感があるからこそ、いろんな選手が動き出せるので、コンビネーションを作る上で重要な役割になっています」

 フロンターレがフロンターレらしくあるために、時空を操るその感性は欠かせない。

「彼は前線の選手としてそういうプレーをしてくれていますが、中盤でコントロールできる選手が増えてくることがチームにとって大事ですし、そういう選手を育てるのが私たちの仕事です」

 翻って、その役割を期待されるのが、例えば脇坂だということになる。

 次の相手、蔚山には昨年のラウンド16でPK戦で敗れていて、今大会の初戦では辛くもドローと手強い相手だ。脇坂は、小林は、家長は、そして他の選手たちは、蔚山にどう立ち向かうのか。ピッチ状態の良くないスタジアムに再び戻り、キックオフも現地の17時と暑さの影響を強く受ける一戦になる。

「ゲームプランもなにもありません。とにかく一戦必勝と選手に話しています。すべてを注ぐということです」

 鬼木監督は言葉にこの日一番の力を込めた。

【Next Game】
4月27日(水)18時 蔚山 vs 川崎F DAZN独占配信


This article is a sponsored article by
''.