川崎フロンターレは3月6日のガンバ大阪戦でアディショナルタイムに追いついて、辛くも勝ち点1を拾う格好になった。脇坂泰斗が大きな反省点として見据えたのは、前半の戦い方。攻撃のスピードをどうコントロールすべきだったのか。

上写真=脇坂泰斗は右サイドの攻撃に工夫を組み込むべきだったと話す(写真提供◎川崎フロンターレ)

「少し淡白になってしまった」

 3月6日のガンバ大阪戦は、王者にとって貴重なレッスンになった。前半はいいところがなく主導権を明け渡す格好になり、34分に失点、75分に宮城天が同点としたものの、2分後に勝ち越しゴールを奪われた。最後の最後にGKがボールを足下に置いたスキに小林悠が背後から奪い、レアンドロ・ダミアンが蹴り込んで同点としたが、鬼木達監督は「敗戦のゲーム」と認めるほかなかった。

 ピッチの中では何が起こっていたのか。脇坂泰斗は「攻撃のスピード」に反省の主眼を置く。

「前半から意図的に敵陣で握ることが少し足りなかったと思っています。速攻で行けるのはいいけれど、自ら仕掛けに行っているのか、なんとなく行けてしまっているのかでは違います。自分たちで意図的に攻撃のスピードをコントロールできれば良かったと思います。攻守において少し淡白になってしまった反省があります」

「意図的に」というフレーズが繰り返されたことが、ポイントになるだろう。脇坂の感覚では、いわば自然発生的ななりゆきの速攻ではなく、意志を持った速攻でなければ、スピードもパワーも人数も揃わない、ということ。

 家長昭博がベンチスタートだったことも影響しているだろう。右ウイングというポジションにとらわれずにあらゆる場所に顔を出し、テンポを調整していくファンタジスタがピッチにいないときにどう攻めるか、という命題が与えられた。右インサイドハーフの脇坂、右サイドバックの山根視来と3人で自在に崩すコンビネーションがこのチームの強みの一つ。だが、代わりの選手が入ればまた、攻め方を変えていく必要がある。この日は知念慶がそこに入った。

「知念くんが外に張っていたんですけど、よりゴール前でプレーしてもらいたい気持ちがありました。だからもう少しうまく後ろからボールを引き出すとか押し込む作業ができればよかった。その3人やトップを含め、押し込めなかったので、自分や視来くんが距離感やポジショニングでによって、前半から押し込めれば良かったと思います」

 知念はもともとはストライカー。その特徴を最大限に生かすには、ゴールに遠いサイドのエリアからスタートするよりも、中央のレアンドロ・ダミアンに近づいてフィニッシュに関わる方がいい。そのために、右サイドは自分が立ち位置でコントロールすべきだったという反省だ。

「それを前半からゲームの中で修正できるようにしなければ」

 改めて得た教訓は、自分たちでゲームを作り、自分たちで変えていく、ということ。そしてもう一つ、どんな試合でも勝ち点を手にすることだ。

「最後の最後で勝ち点を取れたことは、負けを引き分けに、引き分けを勝ちに持っていくという、2019年に足りなかったところだと思います。そういうことがおととしから少しずつできているので、これはポジティブにとらえて、これからもこういう勝ち点1を逃さないように続けていくことが大事です」

 3連覇を狙って達成できなかった3年前の苦い記憶。そこから成長した証としての勝ち点1を「2度めの3連覇への挑戦」の過程で大切にしていく。


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