上写真＝遠野大弥のキックをレアンドロ・ダミアンが決めて決勝点！（写真◎小山真司）
■2022年2月18日 J1リーグ第1節（等々力/17,544人）
川崎フロンターレ 1-0 FC東京
得点者：（川）レアンドロ・ダミアン
（F）なし
「本当はもう少し真ん中に落としたかった」
遠野大弥が示したのは、「王者の戦い」のもう一つの形だ。
川崎フロンターレは開幕戦で、FC東京に押し込まれる時間が長くなった。鬼木達監督は交代カードを切って、局面の打開を狙った。62分に知念慶と塚川孝輝を投入すると、遠野の出番は76分だった。
3分後にペナルティーエリア左に潜り込んで、左足でスマッシュショットを見舞った。GKヤクブ・スウォビィクにブロックされ、最後はエンリケ・トレヴィザンにCKに逃げられた。
そのままキッカーになった。右足を鋭く振ると、ニアサイドに走り込んだレアンドロ・ダミアンの頭にぴたり。バックヘッド気味に頭を振って当てると、ボールは逆サイドネットに吸い込まれた。遠野自慢の思い切りの良さがCKを生み出し、正確なキックでアシストした。
「僕らが入って、オニさん（鬼木達監督）も点を取ることを期待してくれたので、まずは点を取りたかった」
その意識が、あの左足のシュートにつながった。
「違う形でアシストできて、勝利に貢献できてうれしく思います。（レアンドロ）ダミアンのおかげといった感じです。本当はもう少し真ん中にボールを落としたかったんですけど、早く落ちたところにダミアンが合わせてくれました」
狙いとは少しだけ違ったが、結果は最高だ。
2月12日の富士フイルムスーパーカップでは、ベンチ入りもできなかった。それが、最初のゲームで、短い時間でも勝利を引き寄せることができると証明した。2022年、好スタートだ。
「僕たちの世代、（橘田）健人とか若い選手が引っ張らないといけないと思っています。その気持ちで戦っていきたい。コンスタントに出続けることを今季は目標にしているし、結果を求めてやっていきたいです」
J1の3連覇とAFCチャンピオンズリーグ優勝を現実的に視野に入れているから、すべての選手に重要な出番が待ち受ける。まずはその最初のチャンスを生かした遠野を、鬼木監督は称えた。
「ゴールに向かう姿勢を見せてくれましたし、練習の中でも前への推進力やシュートも調子が良かった。守備でもだいぶ頭の整理ができてきているので、これからまだまだ期待できます」
交代選手が難局を打開する、という最高のシナリオを通して、かけがえのない信頼を手に入れた。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司
