上写真=前田大然は74分、こぼれ球にすかさず反応して蹴り込み、通算23ゴール!(写真◎J.LEAGUE)
■2021年12月4日 明治安田生命J1リーグ第38節(@日産ス/観衆30,657人)
横浜FM 1-1 川崎F
得点者:(横)前田大然
(川)レアンドロ・ダミアン
「ゴールのシーンだけうまくいった感じです」
74分に決めたゴールに至るまでのルートは、うろ覚えなのだという。
「実は、あまり覚えていなくて、とりあえずゴール前にいたらボールが来たという感じでした。あとは、1試合を通してクロスにうまく入れていなかったので、ゴールのシーンだけうまくいった感じです」
素早くリスタートしたFKからの流れで、左に回っていたエウベルの折り返しをレオ・セアラがシュート、相手に当たって目の前にこぼれてきた。それを左足で正面に蹴ると、ブロックに入った谷口彰悟の股の下を抜けてゴールに飛び込んだ。
22ゴールで並んで得点王を争うレアンドロ・ダミアンに、目の前で決められたのが67分のこと。1点をリードされることになったが、自らの一発で試合でも、得点王争いでも追いついて、この時点でともに23ゴール。
この日は前田に何度もチャンスが巡ってきた。
15分には右から中に渡辺皓太が入ってきてペナルティー・エリアで受けてシュート、相手に当たってコースが変わり、そのままゴールに転がり込むかと思われたが、逆モーションでGKチョン・ソンリョンにはじかれた。
26分にはGK高丘陽平のクリアがそのままラインの裏に抜けて追いつくと、GKの出際を突いたロングループシュートで狙ったが、バーの上を越えた。
63分には右からの小池龍太の折り返しに右足で合わせたが、少し戻りながら狙った分、しっかりミートせず右に切れた。
同点としたあとにもあった。78分に左からのエウベルのセンタリングに合わせようと入っていき、押し込むだけだったが足が合わず、空振りのような形になってしまった。
「逆にそれが、プレッシャーじゃないですけど、ちょっと期待されているな、と。もちろんそうなんですけど、自分のペースを乱した部分がありました」と苦笑い。「そこは反省ですけど、みんなが自分に取らせたいという気持ちがあって、そこで取れたので、チームメートに感謝したいと思います」と仲間へのお礼を口にした。
最後までお互いに攻め続ける熱い戦いは、見るものを楽しませた。その結果としての23ゴールずつとなって、仲良く得点王を分け合った。
「これを続けないとこのシーズンだけと言われるので、点を取り続けないと。ここからがスタートかな」
日本が誇る新しいゴールキングは、もう先を見据えている。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE