上写真=マルシーニョとレアンドロ・ダミアンの新コンビが川崎Fの大きな魅力に(写真◎J.LEAGUE)
「成長できるように練習を繰り返している」
夏に加わってから、一気にポジションを奪った。ブラジル人ドリブラー、マルシーニョが川崎フロンターレの新しい魅力になっている。
スピードあふれるドリブルが最大の武器で、夏にヨーロッパに飛び立った三笘薫の後継者として十分な働きを見せてきた。9月18日の徳島ヴォルティス戦でデビューしてから10試合連続で出場している。最初の試合でいきなりドリブルから倒されてPKを獲得、さらにはポスト役になってアシストを決め、あっという間に溶け込んだ。
どんな秘密があったのか、と思えば、実は複雑なことではなかった。
「正直なところ、フィジカルがかなりひどい状態で来日していたので、フロンターレのほかの選手と比較してレベルの違いがありました。まずはそこでした。コンディションをどう上げていくかがカギになりました。自分だけではなく、スタッフやチームメートのおかげです」
つまり、フィジカルの状態が上がっていきさえすれば、そのスピード、そのドリブルが、この日本で十分に通用する自信は、最初からたっぷりあったわけだ。
それを支えてくれたのは、レアンドロ・ダミアンだ。かつてブラジルのインテルナシオナルでともにプレーした経験があり、今回の移籍に際して大切な助言もくれた頼れる先輩。そのレアンドロ・ダミアンの来季契約延長を最も頼もしく思ったのは、弟分のマルシーニョかもしれない。
「ブラジル人選手だけではなく、日本人選手も彼の契約延長を喜んでいました。彼はこのクラブの歴史を作る上で必要で重要な選手です。自分もポジションが近いので、私にとっても重要で必要な選手で、延長してくれてうれしいです。彼も常日頃から言っていますが、要求し合いながら、高め合いながら、チームの力になって支えになろうと話をしています」
異国での暮らしをサポートしてくれる仲間がいることが、どれだけ心強いか。ピッチの中でも外でも、背中を押してくれる。
活躍すればするほど、厳重な警戒網が敷かれるのがこの世界の常。だが、マルシーニョは涼しい顔だ。
「自分たちが映像で相手を分析するのと同じように、相手もこちらを分析してきます。それは普通のことで、特に意識して対策していることはありません。ただ、成長できるように練習を繰り返しているので、どれだけいい準備ができるかに考えを置いています」
ここまでまだ1ゴール。チャンスは多いから、逃した好機の方が多い。全体練習のあとには個別にシュート練習を続けていて、次のチャンを待ち受ける。
そして、最終節はレアンドロ・ダミアンに得点王がかかるゲームでもある。22ゴールで並ぶ横浜F・マリノスの前田大然との直接対決。
「力になりたいし、彼のサポートもできるように精一杯やっていきたい」
兄貴分が得点王を手にするそのゴールをアシストできれば、最高だ。