10月24日の明治安田生命J1リーグ第33節で、名古屋グランパスがヴィッセル神戸から奪った6分の先制ゴールは見事だった。イメージがすべてシンクロして、マイボールにしてからおよそ16秒で奪いきった一発。導いた相馬勇紀と決めた前田直輝の言葉で振り返る。

上写真=名古屋の先制ゴールはお見事。自陣から一気に相手ゴールに迫り、相馬勇紀の折り返しを前田直輝が決めた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年10月24日 明治安田生命J1リーグ第33節(@豊田ス/観衆19,257人)
名古屋 2-2 神戸
得点者:(名)前田直輝、シュヴィルツォク
    (神)武藤嘉紀、アンドレス・イニエスタ

およそ16秒の先制ゴール!

「僕のゴールというより、本当にチームで取れたゴールだと思います」と決めた前田直輝。

「本当に全員のイメージが重なった得点でした」とアシストした相馬勇紀。

 J1第33節で名古屋グランパスがヴィッセル神戸から奪った開始6分の先制ゴールは、自陣深くでマイボールにしてからおよそ16秒で奪い取った、電光石火の一撃。みんなの像が一つに結びあった素晴らしい得点だった。

 自陣右サイド深くで前田が初瀬亮に背中から当たられて奪われたボールを、稲垣祥がすかさず回収したところが始まりだった。中谷進之介を経由して前田がもう一度ボールを受けると、前にいたガブリエル・シャビエルに預ける。

「シャビ(ガブリエル・シャビエル)が持ったときは素晴らしい左足のキックがあるので、背後を狙っておくという話はしていました」と相馬。トーマス・フェルマーレンに寄せられながらも、左に体を向けたガブリエル・シャビエルが、左のオープンスペースを走る相馬を見つけて大きく展開した。

 前田はこれを見て、そのままゴールに一直線にロングラン。内側にはシュヴィルツォクがいた。ともにまっすぐゴールに向かいながら、シュヴィルツォクは右に首を振って前田が入ってくるのを確認すると、途中でスピードを緩めて左に寄って、相馬がマイナス方向に折り返すことのできるコースを作った。これに釣られて一瞬、神戸のセンターバック菊池流帆がシュヴィルツォクの方に重心を傾けたその瞬間に、相馬は逆を取るようにして中央にセンタリング。前田は倒れ込みながら確実に左足に当てて、ゴールに流し込んだ。

「本当に良い形で奪えて、(ガブリエル)シャビエル選手、相馬(勇紀)選手の良いつなぎがあって、シュヴィルツォク選手がマイナスに行くことによって、そこに相手の選手が食いついて僕のところが空くという狙いどおりのゴールだったと思います」

 前田は会心のコンビネーションをそう表現した。

「チームとして狙っていた、本当に全員のイメージが重なった得点でした」は相馬の自画自賛。

 このあと、14分にシュヴィルツォクが追加点を挙げたものの、後半に2点を追いつかれてドローに持ち込まれた。「ビッグチャンスがもう何個かありましたし、そういうところが決まっていればとか、いまここで僕が何を言ってもたらればになってしまうというのが第一印象」と前田は嘆き、「2点入ったあとに3点目を取るチャンスがあったので、そこでしっかりチームとして仕留め切らなければいけなかった」と相馬も悔やんだ。

 3位争いのライバルとの直接対決で、敗れたわけではないが追いつかれた焦燥感も漂わせたが、勝ち点3差で残りはまだ5試合もある。

「下を見ていてもいけないので、課題にしっかり向き合って次の試合につなげていきたいと思います」と相馬が力強く言えば、前田も「まずは次の天皇杯もみんな勝ちたいと思って挑むので、今日の試合をしっかりと反省して、次に向かいたいと思います」ときっぱり。リーグでの3位、天皇杯とルヴァンカップの優勝と3つの大会を戦う名古屋にとっては、この日の鮮やかな先制ゴールを大きな自信に変えて最後まで戦い抜くつもりだ。


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