2021年10月23日、明治安田生命J1リーグ第33節が開催された。レモンガススタジアム平塚では湘南ベルマーレ対横浜FCが行なわれた。残留を争うチーム同士の対戦は序盤から激しい戦いとなり、先制した横浜FCを、ホームの湘南が途中出場の選手の活躍もあり、逆転。7試合ぶりの勝利を飾った。

上写真=決勝点をスコアした山田直輝が魂の絶叫!(写真◎J.LEAGUE)

■2021年10月23日 明治安田生命J1リーグ第33節(@レモンS/観衆6,212人)
湘南 2-1 横浜FC
得点:(湘)大橋祐紀、山田直輝
  (横)松尾佑介

・湘南メンバー:GK谷晃生、DF石原広教(83分:舘幸希)、大岩一貴、山本脩斗、MF岡本拓也、田中聡、畑大雅(75分:高橋諒)、茨田陽生(67分:大橋祐紀)、平岡大陽、FWウェリントン(83分:町野修斗)、タリク(75分:山田直輝)

・横浜FCメンバー:GKスベンド・ブローダーセン、DF岩武克弥、高橋秀人、ガブリエウ(71分:韓浩康)、MFマギーニョ(61分:前嶋洋太)、安永玲央、瀬古樹、武田英二郎(61分:高木友也)、ジャーメイン良(87分:アルトゥール・シルバ)、松尾佑介、FWサウロ・ミネイロ

交代策ズバリ! 途中出場の2選手がゴール!

 壮絶な97分間だった。17位の湘南と19位の横浜FC戦の一戦。J1残留のためにともに絶対に負けられない試合。死力を尽くし、魂を削り合うようなゲームになった。

 前半は終わった時点でスコアレス。湘南が押し込んだが横浜FCも集中した守りでゴールは許さなかった。ゲームが動いたのは、63分だ。横浜FCの松尾が敵陣左サイトでプレッシャーをかけ、湘南のCB石原が縦パスを出す瞬間にカット。そのままドリブルで持ち込むとGKの位置を見極め、ゴール右に決めた。

 負ければ勝ち点で並ばれる湘南にとってはますます追い込まれる状況になった。しかし、ホームチームは下を向くことなく、選手を交代しながら追撃姿勢を強めていく。同点弾は、途中出場の2人が絡んで生まれた。78分、右からの山田のクロスをウェリントンがボックス内で落とし、最後は大橋がプッシュ。同点に追いついた。

 その後も攻めの姿勢を見せ続けた湘南は、89分に右CKの機会をつかむ。岡本のキックを町野が叩きつけるようにヘッドすると、バウンドに合わせてゴール前でジャンプした山田がバックヘッド。横浜FCのGKブローダーセンは視界を遮られる形となり、ボールはそのままゴールに吸い込まれた。またしても途中交代の2人、町野と山田が絡んでゴール。采配ズバリの逆転劇に、スタンドではサポーターの大きな拍手が沸き起こり、選手たちも湘南ベンチも歓喜を爆発させた。

 7分と表示されたアディショナルタイムも両チームは激しい戦いを見せたが、湘南の選手たちは激しいプレスで横浜FCの選手たちにプレッシャーをかけ、ボールを蹴らせなかった。90分を過ぎての戦いとは思えない運動量と闘志を示し、そのまま試合終了の笛が鳴る。全身で喜びを表す湘南の選手たち。一方で肩を落とす横浜FCの選手たち。ピッチに描かれた残酷なコントラストが、いかにこの試合が重要だったかを示していた。

 湘南のベンチ前では自らのミスにより失点を招いた石原が泣き崩れていた。仲間に起こされてもしばらく起き上がれないほど。試合後、その光景について問われた山口智監督は「それほ選手たちは覚悟を持って、この試合に懸けていた」と説明。「全員でつかみ取った大きな勝利だと思います。まだ終わりじゃない。この勝利を最後までつなげていきたい」と激闘を振り返った。

 山口監督就任後、6試合目での初勝利は残留を争う相手との重要な試合で記録されることになった。指揮官は自身の初勝利よりもチームにとってこの勝利の意味が大きいと強調した。前節まで16位徳島と18位大分が引き分けたため、この1勝で湘南は残留圏の16位に浮上。まだまだ降格圏とは勝ち点1差と安心できない状況だが、7試合ぶりの勝利は「やっていることに間違いはない」と思いながらも結果につなげられなかったチームに、大きな自信をもたらすことになるだろう。


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