上写真=江坂任がとどめの5点目。今季途中まで在籍した古巣相手に恩返しのゴールを決めた(写真◎J.LEAGUE)
■2021年10月22日 明治安田生命J1リーグ第33節(@埼玉/観衆11,172人)
浦和 5-1 柏
得点者:(浦)汰木康也2、関根貴大、キャスパー・ユンカー、江坂任
(柏)マテウス・サヴィオ
「恐ろしい結果になりました」とネルシーニョ監督
浦和レッズの選手たちは、実に楽しそうにゴールに向かっていった。短いパスで中盤を突破していったかと思えば、ミドルパスで裏を突いてスピーディーに迫っていった。相手に奪われても中盤できっちり回収して主導権を渡さず、59分までに5得点。鮮やかなゴールラッシュで柏レイソルを仕留めて勝ち点を58に伸ばした。その素晴らしさは、それぞれのゴールを振り返ればよく分かる。
15分のゴールからして、まさに今年のレッズらしい得点だった。中盤で平野佑一から柴戸海へボランチ同士の横パスで相手を誘うと、相手の背中側に立った江坂任へ。ドリブルで運ぶ間に左に走り出したキャスパー・ユンカーの足元にぴたりと送り込むと、今度は右前に走った汰木康也へ。トラップが右に流れるが、力強くたたいたボールがゴール左に飛び込んだ。
21分の追加点は関根貴大がPKを決めたが、そこに至るまでの流れがスムーズ。右で組み立て、関根が左に大きく振ってフリーの山中亮輔へ。ニアサイドへの強いセンタリングに入ってきたのがボランチの柴戸で、ユンカーを経由して戻ってきたボールを運ぼうというところで倒されてPKを獲得している。ショートパスの組み立てからサイドチェンジ、そしてスピードアップしてサイドを割った理想的な攻撃だった。
そのわずか2分後の3点目は、またも左を崩した。柴戸のロングパスがきれいに左サイドの山中に届き、すかさずセンタリング、エメルソン・サントスのクリアがそのまま目の前の汰木に渡り、ワントラップから右足できれいにゴール右へと送り込んだ。
柏は33分、神谷優太のカットインからマテウス・サヴィオがヘッドで流し込んで1点を返し、逆襲へのきっかけになるかと思われたが、やはりこの日は浦和のもの。前半終了間際の45分には平野が鮮やかなワンタッチパスを裏に滑り込ませ、ユンカーがスピードを生かして抜け出して得意の左足でていねいに逆サイドに転がした。
最後は59分。左のスローインから江坂が受けて左前の小泉佳穂へ。そのまま江坂が中央に入っていくと、小泉はその動きを見逃さずにクロス、胸でワントラップしてからDF古賀太陽の股を抜いてゴール左に転がした。小泉佳穂と江坂の技術の勝利だが、きっかけが山中のスローイン。これも重要なセットプレーとしてきっちりゴールにつなげるしたたかさが光った。
前節ガンバ大阪戦は攻めに攻めながら、アディショナルタイムのPKのみの得点だったが、この日は面白いように決まった。リカルド・ロドリゲス監督は「ガンバ戦ではチャンスがあってもなかなか決められませんでした。今回はチャンスはその試合ほどはなかったけれど、5点を決めることができました。サッカーの面白さ、難しさが表れました」とにこやかに振り返った。
一方の柏では、さすがのネルシーニョ監督も今回ばかりは脱帽の体。「見て分かるように恐ろしい結果になりました。準備してきた形が何一つ機能しませんでした。前半に立て続けにゴールを許せば相手は勢いづきますし、失点の部分に限らず浦和はいい入りをしていたので、結果は妥当なところでした」と認めるしかなかった。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE