上写真＝83分と終盤に追いついたが、決めた山村和也は古巣に敬意を評して静かな表情（写真◎J.LEAGUE）
■2021年9月22日 明治安田生命J1リーグ第32節（＠カシマ/観衆4,925人）
鹿島 1-2 川崎F
得点者：（鹿）ファン・アラーノ
（川）山村和也、宮城天
「優勝するためには負けられない試合だった」
これぞ究極の「ワンタッチゴール」だ。
J1第32節の鹿島アントラーズ対川崎フロンターレ。61分に鹿島が先制し、1点を追いかける川崎Fが80分を過ぎたところで宮城天が左からカットインしたところで倒されてFKを得る。川崎Fベンチは動き、このタイミングで交代枠の最後となる5人目として山村和也を投入した。山村はそのままゴール前へと駆けていく。
脇坂泰斗がゴール前に鋭く曲がるボールを送ると、ヘッドで流し込んだのが、その山村だった。GK沖悠哉が飛び出してくるその直前に、マークについていたDF関川郁万と競り合いながら先に頭で触った。ファーストプレー、ファーストタッチでのゴールは驚きだが、本人も初めてのことだと振り返った。
「優勝するためには負けられない試合だったので、点を取ったことはうれしかったです。でも、古巣ですし、点を取ったことはすごくうれしかったけど、特別な思いがありました」
プロキャリアをスタートしたクラブを相手に、何度も戦ったカシマスタジアムで決めた貴重な同点ゴール。関川、沖という若手を制してのゴールはまるで、鹿島を巣立った先輩として後輩たちに檄を飛ばすようにも見えるが、最大の敬意を評して無表情だった。その真摯な思いが、実に山村らしい。
もちろんゴールだけではなく、ここから残り時間は中盤で長い足を駆使してセカンドボールを次々に回収してリズムを取り戻し、アディショナルタイムの宮城天の劇的な逆転弾へと土台を作っていった。
「一戦一戦、勝っていくことが優勝につながると思っています。今日勝てたことは良かった」
ルヴァンカップとAFCチャンピオンズリーグを失ったあと、隔離生活を続けながら戦う5連戦で、前節の徳島ヴォルティス戦に続いてまずはアウェー2連勝とした。
「今日勝ったことは良いことですが、継続して勝っていかないと意味がありません。次の試合に準備して、勝ちを続けていくだけだと思います」
2位の横浜F・マリノスと消化試合数が並んで勝ち点7差をつけた。残りはいよいよ一桁の9試合。さあ、ラストスパートだ。
写真◎J.LEAGUE
