上写真=中谷進之介が2試合連続ゴール。仲間と喜びを表現して一体感を味わった(写真◎J.LEAGUE)
■2021年9月18日 明治安田生命J1リーグ第29節(@豊田ス/観衆9,953人)
名古屋 2-1 横浜FM
得点者:(名)中谷進之介、シュヴィルツォク
(横)杉本健勇
「時間をかけて、自分たちの陣形を整えながら」
大はしゃぎで喜んだのが、中谷進之介だ。キャプテンマークを巻いてセンターバックで堅守を支える男が先制ゴールだ。
横浜F・マリノスとの上位決戦。12分の幸先の良いオープニングゴールはセットプレーからだった。マテウスが右CKをファーに送り込み、稲垣祥がダイレクトでボレーシュートを放った。これはややアウトに当たって浮いてしまったが、ゴール右脇に飛んだところに長澤和輝がいた。これもワンタッチで中に送り込み、GK高丘陽平にはじかれたものの、キム・ミンテがシュート、ボールは扇原貴宏にブロックされてから左ポストに当たってはね返ってきて、そこに中谷。右足できっちりと蹴り込んで、仲間と喜びを分かち合った。
「ゴールシーンは、まず(稲垣)祥くんの素晴らしいパスから始まりました。そこに(長澤)和輝くんが入ってくるという、サインプレーのような流れから、(キム)ミンテが外して、フリーの僕のところにボールが来ました。小学校のときにやっていたストライカーの感覚がよみがえって決められましたね」
この1点で横浜FMがよりパワフルに攻め込んできた。そうすれば今度は、本職の「守備の人」としての活躍だ。レオ・セアラとマルコス・ジュニオールを中心にして、入れ替わり立ち代わり、次から次へとゴール前に進入してくる相手を、ことごとく止めていった。
「相手は前半からすごくアグレッシブにやってきましたし、インテンシティーの高いサッカーをしています。まずは、前半に失点していないことをすごく大事に意識していました。その中で逆に僕たちが決められたので、そういった意味ではすごくうまくやれたのかなと。こちらのリズムでできたのではないかなと思います」
ときにはボランチやサイドバック、さらにセンターバックまでもがゴール前に顔を出してくる横浜FMの流動的な攻撃に、じっくり耐えていった。76分には木本恭生が加わって5バックで壁を築く。キーワードは「ゆっくり」。
「相手の特徴は早く早くと、セットプレーであってもすぐに始めてくるので、僕たちはちょっと時間をかけようと。しっかりと時間をかけて、自分たちの陣形を整えながらやろうとみんなで話していました」
超攻撃的に試合を運んでくることは事前にわかっていたから、そこに引きずられるに自分たちのペースで、という心の余裕。後半開始早々には前田直輝が相手のミスを誘って、最後はシュヴィルツォクが流し込んで2-0として、まさに自分たちのペースに引き込んだ。
72分にセットプレーから決められて19試合目のクリーンシートという記録更新は逃したものの、いま最も勢いのある横浜FMに勝ちきったのは大きい。
3日前のAFCチャンピオンズリーグラウンド16の大邸FC(韓国)戦でもゴールを決めていて、公式戦2戦連発。「今日も来るんじゃないかと思っていた」という予感が的中した貴重な先制ゴールで、チームをさらに前に進めていった。
写真◎J.LEAGUE