名古屋グランパスが7試合ぶりの勝利だ。8月15日の明治安田生命J1リーグ第24節で湘南ベルマーレに得意の「ウノゼロ」(1-0のスコア)で、実に3カ月ぶりに勝利を収めた。過密日程は続くが、マッシモ・フィッカデンティ監督はこれをステップボードにして、上へ上への意欲を示す。

上写真=湘南戦でリーグ3カ月ぶりの勝利を手に。マッシモ監督はどの大会のどの試合でも勝利に貪欲だ(写真◎J.LEAGUE)

「彼がどれだけ難しいことをやりきってくれたか」

 名古屋グランパスにとって7試合ぶりの白星は、新戦力の「デビュー戦ゴール」によるものだった。北海道コンサドーレ札幌から期限付き席で加わったばかりでいきなり先発に名を連ねたDFキム・ミンテが74分、左CKからヘッドで押し込んで決勝ゴール、1-0で逃げ切った。

「決勝点を取っただけでも、クローズアップされてほめられていい」とマッシモ・フィッカデンティ監督はキム・ミンテについて振り返る。だが、それ以上にプレー内容について高い評価を下している。理解のスピードと実行の確実性。

「彼がどれだけ難しいことをやりきってくれたか。札幌ではゴールに近づくほど5バックになって、守るスペースが小さくなっていましたが、うちは4バックで、まったく違うやり方の中であれだけうまく対応できたこと、すぐに理解してやりきったことは素晴らしかったと思います」

 3失点、2失点、2失点の黒星のあとの「ウノゼロ」だ。この一戦が、名古屋の基盤となる強固な守備を取り戻すきっかけになりそうだ。5月15日の清水エスパルス戦以来、ちょうど3カ月ぶりの勝利を、再浮上のスタートにしたい。

 次は18日の天皇杯ラウンド16、ヴィッセル神戸戦に挑む。リーグ戦であろうがカップ戦であろうが、過密日程であろうが、負けるつもりはさらさらない。

「どういった大会でも、上に行きたいという野望がこのチームにはあります。多くの大会で勝ち残っているのは一つのモチベーションになっているのと同時に疲労も残りますが、その中でどう勝つとしか考えていません」

 1年を通してチームのコンディションに波がある中で、苦しむいまは「原状回復」が最優先だが、それが目的ではないのだ。

「難しい状況ですが、内容は勝敗よりも大事だと位置づけているのは、そういうプレーができる状態に持っていければこのチームは必ず勝って終えるだろうという感覚があるからです。自信を持って試合に入れるように調子を取り戻して、そこでまた勢いをつけて、その先には、前の良かった状態に戻すのではなく、成長したい、もっともっと上に行きたいという欲もあります。落ちた部分を取り戻して、さらにまた、本来見ていたはずのもっともっと上へ行きたいという勢いを取り戻したいと思います。プレーを見ていると、その感覚は選手たちに戻ってきたと思いますから」

 J1で順位は6位だが、来季のAFCチャンピオンズリーグ出場権を確保できる3位とは1ポイント差。川崎フロンターレと横浜F・マリノスとはやや距離があるが、3位は現実的にターゲットにできる場所にある。


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