上写真=古巣対決に燃えたジョアン・シミッチ。大勝で堂々の恩返しだ(写真◎J.LEAGUE)
「自分たちの目標は1試合で3点以上取ること」
「この試合に向けて気持ちは高ぶっていました」
ジョアン・シミッチが豊田スタジアムに帰ってきた。身につけていたのは、赤いユニフォームではなかったけれど。
今季、名古屋グランパスから川崎フロンターレに移籍してから、初めて戦う古巣戦。懐かしいスタジアムで、健在ぶりを存分に見せつけた。
「相手が名古屋ということで難しいゲームでしたけど、自分たちのスタイルを出しながら今日の結果につなげることができました」
首位と2位の頂上決戦は3分に旗手怜央が、10分と23分にレアンドロ・ダミアンが決めて川崎Fがあっという間に3-0とした。試合を締めるには早すぎるし、名古屋が意地の逆襲を仕掛けてくるのは明らかだった。
「3点を取ったあとということで、(ペースダウンは)試合の中では自然に起こりえることです。守備的に入ったわけではないし、リズムを落としてはいけないですが、ゲームのボリュームが落ちたという印象は受けています。でもそこで失点しないこと、カウンターを受けないことを意識してやっていました」
アンカーの位置でボールを中継するシミッチには、ポジションが重なる名古屋のトップ下の柿谷曜一朗がしきりにチェックしに来ていたし、3点差がついた30分には早々に名古屋が成瀬竣平と長澤和輝を投入、中盤を厚くして、稲垣祥や長澤も柿谷に加わってパスを分断しにきた。
「今日の試合だけではなく、どの相手でもプレスをかけにくることは知っていますから、いい準備をしています。重要なのは、変わらずにこれまでやっていることを続けることだと思っています」
自分たちのスタイルには、絶対的な自信がある。それを、堅守名古屋を相手にも力強く、軽やかに、徹底的にパスを配り続けることで証明してみせた。
「自分たちの目標は1試合で3点以上取ることです。今日は3点目を取ったあとでも自分たちは積極的にプレスをかけて前に出ていくイメージは持っていました。1試合を通して考えれば、90分あるので少し落として守備的な部分も出てきますが、常に得点を取りにいく、攻撃するという目標のためにプレーしました」
その言葉の通り、84分には交代出場していた遠野大弥が左足で右サイドネットに突き刺す強烈な一撃でダメを押した。
この5日後の5月4日には、今度は昨年までの仲間たちをホームに迎える番だ。再びのゴールラッシュのために、シミッチは変わらずパスを回し続けるだろう。