上写真＝追加点をヘッドで奪った岩武克弥（写真◎J.LEAGUE）
■2021年4月28日 JリーグYBCルヴァンカップGS第4節（@ニッパツ/観衆1,891人）
横浜FC 2-0 柏
得点:（横）ジャーメイン良、岩武克弥
・横浜FC:GK市川暉記、DF岩武克弥、高橋秀人、韓浩康、高木友也、MF松浦拓弥（64分:松尾佑介）、安永玲央（90＋2分:古宿理久）、手塚康平、杉本竜士（90分:前嶋洋太）、FW渡邉千真（64分:クレーベ）、ジャーメイン良（90分:三浦知良）
・柏メンバー:GK佐々木雅士、DF川口尚紀、田中隼人（46分:上島拓巳）、エメルソン・サントス、MF北爪健吾（64分:細谷真大）、ヒシャルジソン、ドッジ（46分:椎橋慧也）、大嶽拓馬、FWイッペイ・シノヅカ（64分:神谷優太）、ペドロ・ハウル、アンジェロッティ（46分:呉屋大翔）
反省を生かして後半2得点
前半、ボールを握ったのは横浜FCだ。敵陣までボールを運び、松浦による右からのクロスやジャーメイン良や渡邉へのくさびから攻撃を展開していく。セカンドボールもしっかり回収し、厚みのあるアタックにつなげた。だが、フィニッシュゾーンにかかるとプレー精度を欠き、なかなか決定的な場面をつくり出せない。それは柏が最終ラインが堅かったからでもあった。守備の局面になると、3バック＋両ウイングバックの5枚で構える柏は、ボールを持たれても、最後は分厚く守ってゴールは割らせなかった。
3-4-2-1のフォーメーションを採用した柏は、前節のリーグ戦で途中出場させたペドロ・ハウルを1トップ、アンジェロッティを2シャドーの左に起用。さらに3バックの左CBにエメルソン・サントス、ドイスボランチの左にドッジを初先発させ、新外国籍選手4人をスタートからピッチに送った。攻撃面ではコンビネーションが合わない場面も散見されたが、とくにＥ・サントスは前半、守備面で強さを見せ、違和感なくプレーした。
互いに決定機をつかめないまま、0-0で折り返した後半58分、均衡を破ったのは前半から何度も敵陣に進入していた横浜FCだった。裏を狙い続けていたジャーメインが、安永のパスで抜け出し、GKと1対1の状況をつくり出す。相手GKの位置をしっかり見てゴール左にシュートを突き刺した。
柏は後半開始からドッジに代えて椎橋、アンジェロッティに代えて呉屋、田中に代えて上島を投入。守勢に回ることが多かったゲームバランスを修正しにかかっていたものの、整える前に失点することになった。
それは横浜FCにとってはチームを乗せる、柏にとっては悔やまれるゴールとなる。柏は失点直後に神谷や細谷を投入し、攻撃を活性化させて1点を取りにいったが、対する横浜FCも渡邉と松浦に代えてクレーベと松尾という攻撃のカードをピッチに送り、前へ前への姿勢をキープ。J1第10節のベガルタ仙台戦で終了間際に2失点して勝利を逃した反省を生かし、前向きなギアを入れたまま時計の針を進めていった。その前傾姿勢が、奏功する。85分にFKから2点目を記録したのだ。手塚が蹴ったボールを岩武が頭でとらえ、ネットを揺らした。さらに90分にはカズが、J1第3節以来となる今季2試合目の出場を果たす。そのまま2-0で試合を締めて、4月8日に監督に就任して5試合目で、ついに早川知伸監督は初勝利を手にした。
「チーム全員でこの1勝を目指してやってきた。選手が本当に躍動してくれて勝利できたのはうれしいです。相手がどういうシステムで来るかというのもありましたが、その中で自分たちが優位に立ちながらビルドアップしていくところは、短い時間でしたけど整理できていました。そこがスムーズにいったので、自分たちがボール持てる時間が長くなり、狙いを実践できました。（これまでの反省を生かし）得点したあとも追加点を狙いにいき、（ボールを）下げたくないと思っていましたが、それができたことも良かった点です」
ようやく勝利をつかんだチームは湘南と並び、Cグループの首位に浮上。プレーオフステージ進出の可能性を広げることにもなった。「自分が目指しているサッカーを提示できたと感じています。チーム一丸となってハードワークして、カバーしながら戦う。そこが大事ですし、それをみんなが体現してくれたという点で意味のある1勝になりました」と早川監督。その意味をさらに大きくするために、次はリーグ戦初勝利を狙う。横浜FCの次戦は、5月1日。中2日でホームに鹿島アントラーズを迎える。
取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE
