マッシモ・フィッカデンティ監督は妙に落ち着いていた。明治安田生命J1リーグで、2位の名古屋グランパスが挑む、首位の川崎フロンターレとのダブルヘッダー。4月29日にホームで、5月4日にアウェーで戦うが、フィッカデンティ監督は激戦に挑む選手たちに改めて強い気持ちを注入した。

上写真=フィッカデンティ監督は川崎Fとの連続決戦を前にして、選手に改めて戦う気持ちを伝えた(写真◎J.LEAGUE)

「最初の試合に集中することが大事」

 相手が首位の川崎フロンターレであったとしても、特別な準備はない。それが、名古屋グランパスを率いるマッシモ・フィッカデンティ監督の流儀。

「時間はかけましたが、それは日程的に可能だったからです。どのチームが相手でも全力でやるのはここに来てからずっとやっているやり方ですから、それを続けただけです。今回は違った準備ができましたが、それは相手が川崎だからではなく、毎回リスペクトして進めているその作業が(時間もあって)できたということです」

 とはいえ、1位と2位の首位決戦である。しかも、2試合連続という特別なスケジュール。勝ち点差はたったの3で、この連戦で勝ち点4を奪えば順位をひっくり返せる。そうなれば、「首位ではない川崎F」は昨年7月8日の第3節以来になる。

 名古屋は直近の4月22日のガンバ大阪戦では2-0というスコア以上の完勝で、チーム力の充実ぶりが際立った。その試合直後に、フィッカデンティ監督はこう話していた。

「まず29日のホームゲームでどうやっていくかを位置づけます。川崎と1試合をやることがどれほど大変な作業になるか。ですから、2試合あるとみないで、まず29日にどこまでやれるかです。最初の試合に集中することが大事だと思っています」

 いよいよ、その最初の決戦を控えて、どんな戦いで勝ち点3を目指すのだろう。

「やり切ることで相手が出てくることができなくなる」

「名古屋が結果を出し始めている中で、強みはインテンシティにこだわるところです。どんな展開になっても勝つために何をするかを最優先にしていて、そのベースには勝ちたい気持ちがあります。それをどこまで持ち続けられるか」

 12試合で失点はわずかに3。当然のことだが、自分たちの強みをはっきりと生かす形で立ち向かっていく。

「特に川崎を目の前にしたときに、肌感覚で上回っていくことをピリピリと感じながらやってほしいと思っています」

 逆に言えば、試合前に行方を論じることよりも、選手たちがピッチに立って実際に相手から感じ取りながら戦うという意欲だ。まさに決闘。

「昨年は3度戦っていて、ルヴァンカップで引き分け、リーグではホームで勝ってアウェーで0-3でした。しかし、そのアウェーゲームも良い前半を過ごし、後半は失点した状態で始まりましたけれど、2失点目するところまではいいサッカーができていました。高いレベルで戦えたので、同じようにいいものをぶつけていくサッカーをします。のみ込まれずにのみ込むという形でやっていかなければいけないと思います」

 自信が十分に伝わってくる。

「川崎のゴールシーンでは、相手陣地で奪い返して決めたり、それに近い形で決めていることが多いので、そこは気をつけなければいけない項目であることは確かです。逆に言うと、それだけ相手陣地内に一気に人をかけてくるので、どこをどうやって裏を取るのか、あるいはボールを奪わせないようにやるのではなくて、こちらがやり切ることで相手が出てくることができなくなると考えられます。その点でも、受けるのではなく相手が嫌になるプレーで対抗することが大事だと選手には話しています」

 これまでやってきたことを、さらに徹底的にやること。中途半端は許されない。「集中する」と話した最初のゲームは、いよいよ4月29日15時キックオフ。


This article is a sponsored article by
''.