上写真=鳥栖戦の黒星はいい意味で開き直ったマッシモ・フィッカデンティ監督。自分たちのサッカーをやり続けるだけと強調する(写真◎J.LEAGUE)
「記録をまた自分たちで塗り替えにいこうぜ」
「それだけニュースになった、ということですよね」
「今後も負けないでいって、次の負けがまたニュースになるぐらい遠い時期になることを願っています」
マッシモ・フィッカデンティ監督は、そんな風に笑った。名古屋グランパスが今季初黒星。J1第10節のサガン鳥栖戦で1-2で敗れて、「名古屋がついに負けた」という文脈で語られることになった。
9試合連続無失点の記録も、鳥栖戦の6分に決められて途切れた。
「記録としていったん残る形になって、サポーターやファミリーの皆さんは誇りに思ってくれるだろうし、記録をまた自分たちで塗り替えにいこうぜ、とファンの方は見てくれると思います。彼らと一緒に取り組みたい」
改めてそう呼びかけた。
その鳥栖戦については、「うまく行かない日はうまく行かない」といい意味で開き直っている。鳥栖戦は失点の少ないチーム同士の戦いになったが、そうしたデータは必要以上に重視しない。
「結局、例えばなぜ勝ったのかということを説明できるかというと、試合前に言うことはできないわけです。もちろん試合後には結果論として言えますけれど、そこを深くやりすぎると無駄になるということもあると思います」
例えば、鳥栖戦の2失点目だ。45分にFKからのクリアが短くなったところをたたき込まれている。
「あそこに転がってしまったわけですけど、ああいうクリアの仕方は用意していたわけではなくて、ミスとしてたまたまあそこに転がって見事に決められました。あの試合で、あのクリアボールが、あの場所にこぼれるというデータは何もないのです。サッカーは不思議なもので、例えばポゼッションの数字とイコールでスコアが決まるわけではありません。ほかのスポーツであれば、あるデータで上回れば勝つ確率が9割になるということがあるかもしれませんが、サッカーはそうではありません」
裏を返せば、敗戦に値するような試合だったわけではない、ということだ。それに、1敗しただけで崩れるようなチームは作ってきていない。
「記録は途切れましたが、目の前の試合に勝ちにいくことに変わりはありません。取り組み続けるだけです」
4月22日にガンバ大阪と戦うと、29日、5月4日には川崎フロンターレとの連戦になる。G大阪戦が終われば川崎Fと消化試合数で並び、勝てば勝ち点差で3に迫ることができる。そうなれば、連戦で一気に追い抜く可能性が出てくる。だから、川崎Fの進撃を止めるためにも、G大阪戦が重要なのだ。