上写真=早々の4分に鈴木義宜が決めた清水が先制。これで悪コンディションのゲームを優位に進めた(写真◎小山真司)
■2021年3月21日 明治安田生命J1リーグ第6節(@三協F柏/観衆:3,236人)
柏 1-2 清水
得点:(柏)神谷優太
(清)鈴木義宜、チアゴ・サンタナ
「後半の方が狙い通りにボールを握って動かした」
嵐を切り裂く3つのゴールだった。
断続的に雨が降り、メーンスタンドから見て左から右に強い風が吹きつける悪コンディション。前半は柏レイソルが、後半は清水エスパルスが有利なはずの風上に立ったのだが、ゴールを奪ったのはいずれも風下のチームだった。
前半の2ゴールは清水が手に入れた。開始わずか4分、西澤健太が蹴った右CKから鈴木義宜がファーサイドでヘッドで押し込んで幸先よく先制。28分には左サイドから河井陽介が一気にサイドチェンジ、西澤の縦パスで右サイド深くに入り込んだ原輝綺が素晴らしいセンタリングを送ると、これを中央でばっちり合わせたのがチアゴ・サンタナ。ヘッドで目の醒めるようなシュートを突き刺した。
ロティーナ監督が勝因の一つに挙げたのが、当然ながらこの2ゴール。
「1点目のコーナーからの得点が重要でした。これで自分たちのプランに対してより自信を持ってプレーを開始することができました。そして、素晴らしいサイドチェンジからの2点目が決まって、より優位に試合を運べました」
後半になると、さらに風雨の激しさが増す過酷な状況になった。柏はメンバーを2人代え、4-1-2-3のフォーメーションにシフトチェンジ。前線に人数をかけて逆襲を狙った。すると66分に待望の追撃弾が生まれる。
相手のクリアを拾った古賀太陽がうまく右に持ち出して相手をかわすと中央にくさびのパス、受けた細谷真大がゴールに向かって持ち出して相手を引きつけ、入れ替わるように中に入ってきた神谷優太にていねいに預けると、神谷は右足で思い切りボールを叩いてGK権田修一にぶつけながらも決めきった。
「前半は相手がうちの攻撃を待つ時間が長く続いて、相手の狙いはうちの攻撃から奪ってからのカウンターでした。持たせてもらえる時間が相当あったにもかかわらず、決定機を作れなかったのが前半の展開でした。後半に入って神谷というよりクリエイティブな選手を投入してシステムも変えて攻撃に出ました。得点も取れたし、後半の方がわれわれの狙い通りにボールを握って動かしていましたし、個々の選手も役割とパーソナリティーを見せてくれました。しかし、ボールを持てた時間帯に点を取り切れなかったことに今日のゲームの最大の敗因があります」
ネルシーニョ監督の言葉の通り、1点を決めた後も激しくゴールに迫ったが、清水の集中守備の抵抗にあってここまで。柏はこれで5敗目と苦しい序盤になっている。
一方の清水も、勝利は開幕戦以来、5試合ぶり。ロティーナ監督も「仕事量の多いゲームでしたが、全員のハードワークで難しいアウェーで勝ち点3を取ることができました」とうなずいていた。
現地取材◎平澤大輔 写真◎小山真司