上写真=ルヴァンカップ決勝の悔しさは忘れていない。古賀太陽の中からタイトル獲得への意欲が湧き出している(写真◎Getty Images)
タニくんみたいになりたいというか
柏レイソルというクラブが次の輝かしい歴史をつくることができるかどうかは、次世代リーダーの誕生にかかってくるだろう。アカデミー出身のDF古賀太陽こそ、ふさわしい。
2016年からトップ登録され、17年にリーグ9試合、18年にアビスパ福岡での武者修行で成長して、19年からは主力として守備の要となってきた。左サイドバックもセンターバックもこなすことができて、東京オリンピックを目指すチームのメンバー候補でもある。
「去年はシーズンを通して、後ろの選手としては失点が多かったり、僕自身が失点に絡んで試合を落としたこともありました。だから、去年以上にチームの力にならないと」
そのためにいま、トレーニングキャンプで細部を見つめている。
「プレーの細かいところを追求していく必要があると感じています。だからこそこのキャンプ期間を大事にしたいし、ルヴァンカップを逃してタイトルへの気持ちはより強まっているので、より現実的にそこを見ていけるようにみんなで刺激し合いながらやれたらと思っています」
FC東京と戦った1月4日のJリーグYBCルヴァンカップ決勝では、1-1で迎えた74分、ゴール前に流れてきたボールをクリアしようとした寸前にアダイウトンに蹴り込まれて決勝ゴールを許してしまった。目の前で叩き込まれた一撃。
「あの光景はいまでもなかなか思い出したくないぐらいショッキングな、というか、自分の中には鮮明に残っています。今年こそ逆の立場になっていたいと思うし、そこへの思いは強いので、タイトルへの気持ちがいままでより強くなりました」
リーダーは酸いも甘いも噛み締めなければならない。あの屈辱を力に変えればいい。今季はキャプテンマークを巻いてピッチに立つことも増えるだろう。
「いつでも太陽ならと思ってもらえる存在にならないと。特別に意識することはないですけど、自然とそうなっていければ僕自身も成長できると思います。もっとチームのためになる選手にならないといけない」
リーダーであるべきだというのは昨季から口にしていて、その頭の中には徐々にくっきりとした形を持って古賀なりのリーダー像が描かれてきた。
「キャラクターとしては、大きい声で引っ張っていくタイプではないですね。もちろんそういうことも増やしていかなければいけませんけど、よりサッカーの細かい部分で深い話をしたり、チームが困っているときに助けることのできる声をかけていくことを増やしていきたいと思います。キャラとは違うこともしながら、自分らしくいろいろなコミュニケーションの取り方を増やしていきたいと思っています」
心を開いて、細かいところまで深く、ていねいに話して、前に進めていく。実直な古賀らしく、尊敬されるリーダー像が見えてくる。
「理想のキャプテン像としては身近にタニくん(大谷秀和)という存在がいて、タニくんみたいになりたいというか、真似をするわけではないけれど、僕も細かい言葉や気にかけてくることで救われたことが何回もあるんです。そんな存在になりたい」
2021年は柏に新しいリーダーが生まれた年として、刻まれることになるだろう。