上写真=前節名古屋戦の先制ゴールが、三笘薫の今季11点目だった(写真◎Getty Images)
「僕自身も期待している」
川崎フロンターレは10月18日のJ1第23節で名古屋グランパスに3-0で勝って、次の試合は10月31日第25節のFC東京戦。超過密日程をひとまず乗り切って、「中12日」という変則的な日程になった。チームは久々のオフを迎えた。
ルーキーの三笘薫にとってはいきなりプロ1年目で厳しい日程に直面したものの、オフにリフレッシュできた。
「買い物をしたり、いつもできないことをやりましたね。一度リフレッシュして、またサッカーがしたいなと思えるような感じでリラックスして過ごせました」
氷の上を滑るようなコース取りと巧みなステップ、ストップ・アンド・ゴーの緩急の変化で魅了するドリブルは、すっかり川崎Fの名物となった。筑波大時代に陸上部のコーチに走り方を学び、人体そのものへの理解が深まったことで開花したというそのドリブルに、プロのDFたちはきりきり舞いさせられている。しかも、得点も11を数えて量産中。小林悠の12ゴールに続き、レアンドロ・ダミアンと並んでチームで2番目に多く、J1の新人年の最多得点記録13(2009年・渡邉千真=横浜FM、14年・武藤嘉紀=FC東京)を超えるのではと目されている。
「こんなに取れるとは思っていなかったんですけど、落ち着いてフィニッシュできるので、ゴール前のところは整理できてきたかなと思います」
残り10試合であと3ゴールを挙げればクリアだ。ここまで20試合、923分で11ゴールだから、約84分に1ゴール。同じペースであれば、計算上は最速で11月14日の鹿島アントラーズ戦で達成できることになる。
「皆さんも期待していると思いますし、僕自身も期待しているけれど、1試合ずつ取っていくしかないと思っています。(レギュラー獲得へ)アピールするにはゴールやアシストが大事ですし、積み重ねていけば達成できる可能性はあると思います」
記録に対してもあくまで冷静だが、相手チームの警戒度は試合ごとにどんどん上がっている。三笘が持つと2人がかりで対応される状況も増えているが、「あんまり気にしていないですけど、2人の間を抜けるぐらいの個人技は持たないといけない」と、もっとうまくなりたいと意欲をかきたてるだけのようだ。
「大学時代はなるべく早くトップスピードになって抜くことを意識していましたが、プロだとスピード上げすぎると失うリスクが高まるので、7〜8割のスピードで相手を見ながらパスするのかドリブルするのかを選択するというところは変わったかもしれません。抜くときに相手の足の近いところにボール通すよりは、遠回りになっても逆算して取られないように考えているようになっています」
そのドリブルがまた、優勝に近づく重要な一歩にもなる。得点ももちろん意識しながらも、最優先はチームとしてのリーグ制覇だ。
「1試合1ゴールか1アシストは残していかなければいけないと思っています。でもチームが勝てればいいので、それがなくても守備やハードワークで勝利のために戦えればいいと思います」
リーグ優勝。J1新人最多得点記録。チーム得点王。三笘はその「3冠」を狙いながら、残り10試合にすべてをぶつける。