上写真=川崎Fの先制ゴールは三笘薫が決めた。右CKからの流れでプッシュ!(写真◎J.LEAGUE)
■2020年10月18日 J1リーグ第23節(@等々力:観衆10,161人)
川崎F 3-0 名古屋
得点:(川)三笘薫、ジェジエウ2
「川崎相手に素晴らしい試合をした感覚がある」
13分、GKランゲラックから中盤で受けた阿部浩之が左に大きく開いたマテウスに速いミドルパスを送った。マテウスは中にドリブルで入って得意の左足でファーへクロス、DFの背後を取っていた金崎夢生がヘッドで中に落としたところは相手にクリアされたが、こぼれ球を前田直輝が左足を強振、ボールはゴールを外れていったが、名古屋グランパスの攻撃の特徴が表れたシーンだ。
速さ、そしてミドルレンジのパスで振って川崎フロンターレの守備網を広げて穴を開ける。昨年まで川崎Fに所属していた阿部のそのきっかけのパスが象徴的だった。しかし、その阿部のセンスをもってしても、すべての選手がパスの出し手であり受け手になる川崎Fから攻撃の主導権を完全に奪うことはできなかった。
名古屋はこの13分のシーンからしばらくはボールを保持する時間はあったものの、攻撃は散発的。一度スイッチが入れば休みなく連続的に仕掛ける川崎Fが、結局は押し込んでいく流れになっていった。
そんな展開で、得点が決まったのがすべてセットプレーからだったというのも面白い。
先制点は44分。田中碧の右CKからニアで谷口彰悟がヘッド、中央に流れたボールは三笘薫が無人のゴールに押し込んで、川崎Fが先制に成功した。57分には左寄りのFKを中村憲剛が遠目に飛ばし、ジェジエウがヘッドで合わせたボールが相手に当たってゴールイン。65分には左のショートコーナーから中村が中央に送ると、またもジェジエウがヘッドで思い切りボールを叩いてゴール左に送り込んだ。
川崎Fは前半にややリズムを失った時間帯はありながら、相手のフィジカル的な強さやスピードを技術の高さで次々にいなす、相変わらず安定した試合運び。最後まで鮮やかに攻撃を仕掛けてこのまま試合を終わらせた。
8月23日、第12節で連勝新記録を10で止められた名古屋に完勝してリベンジに成功。これで11連勝として、「自分たちの記録は自分たちで破ろう」と鬼木達監督が話した目標を達成した。
その鬼木監督は記録達成の瞬間もいつも通りに淡々と手を叩いて喜ぶのみ。「まずは気持ちの入ったゲームしてくれました。プレッシャーがあったか分からないですけど、自分たちらしいサッカーをしようと送り出して、攻守に強気で戦ってくれました」と強くうなずいた。
今回は川崎Fの連勝を止められなかった名古屋だが、後半も交代選手を続々と送り込んでゴールへの意欲を失わなかったことが、最後まで試合を面白くした。そのマッシモ・フィッカデンティ監督は「結果だけを見ると3-0で片方が大差で勝った試合だが、決して内容が一方通行だったとは思わない」「川崎相手に素晴らしい試合をした感覚があるが、それだけでは足りないと選手も感じている」と手応えと反省の両方を持ち帰った。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE