明治安田生命J1リーグで名古屋グランパスは連戦の合間の小休止を迎えている。この間にフィッカデンティ監督が選手に伝えたのが、ミスのとらえ方。失点は全員の問題と改めて語りかけ、リフレッシュして再び快進撃を目指す。

上写真=横浜FC戦の敗戦などから、ミスへの向き合い方を選手に伝えた(写真◎Getty Images)

「あがくことはできたのではないか」

 失点が多いのは、誰か一人の責任ではない。

「最終的にどうやってゴールが入ったのかというよりも、どうしてそういうプレーが生まれたのかということをさかのぼって考えて、修正するという作業から始まった1週間でした」

 連戦と連戦の合間の小休止。試合のないこの1週間を有効に使うために、名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督はまず、ミスのとらえ方について確認するところからアプローチしたのだという。 

「常にサッカーはミスをしない方が勝つと言われていますが、それは本当にそうなんだと選手に感じてもらいながら振り返りました」

「全員で目をそらさずに、誰がどういう風に間違えたか。自分でもそのミスをする可能性があるわけで、ディフェンスだけではなくフォワード、ミッドフィルダーまで全員がこの失点に関してはこうできたのではないかと確認しました」

「失点するとき、ミスは一つではなく重なるものです。誰かのミスは誰かがカバーすれば失点にならないわけなので、誰かのせいではなくチームとしてやられたのだという意識を確認しました」

 失点するとその瞬間にばかり原因を求めがちだが、フィッカデンティ監督は守備陣を集めてこんな風に伝えたのだという。

「攻撃に転じて押し上げていって、マイボールのシチュエーションの中でどうやって動いていくか、どういうポジションを取ろうかという瞬間にボールを奪われたとき、もう一度どのようにして守備をするのか。ここまでの失点では、守備陣にとってみたらそのような難易度の高いシチュエーションだった、という話をしました」

「その上で、どういう失点の仕方をしているかを1点1点見つめ直して、ここではこういうことができたのではないか、と伝えました。サッカーではこのシチュエーションを絶対に守らなければならない、ということはありませんが、コンセプトとして持っておけば、相手のゴールチャンスや確率を少なくできると思います」

「ゴールに直結する選択肢を相手が持てないようにボールにしっかり寄せる、そしてそのほかの選手がどうすべきかという、決まりごとというよりはすべきことを口頭で説明して、映像見せてリンクさせました。彼らのせいで失点しているわけではないけれど、4人あるいは3人だけで守る場合に、もう一つ二つ、あがくことができたのではないかということを伝えた時間でした」

 何かを決めつけて縛ることで硬直化を招くのではなく、しかしコンセプトは共有しておく。これまでのチーム作りでも浸透させてきたことを、この小休止に改めて選手の頭にインプットさせたのだった。

 攻撃についても同様だが、「いつゴールを入れてもおかしくない、という時間帯は作れているので、悲観してはいません」と一定の評価を与えている。「その上で、あえてあるとすれば」と前置きして、核心を突く。

「あえてあるとすれば、厳しさが足りないと思います。しっかり決めきるんだ、この1回のチャンスしかないんだ、という危機感をそこまで持てているのかどうか。チャンスは多く作れているからまた作ればいい、という考えではいけないんです。決めきって決めきって、というチームは他にもあるわけですから」

 守備にも攻撃にも必要な厳しさをもう一度求め直して、次のヴィッセル神戸戦に向かっていく。

「神戸もミスを許してはくれません。バカげたミスをなくして堅い試合、自分たちの良さを出せる試合展開に持っていくために準備したいと思います」


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