上写真=ニッパツ三ツ沢球技場では湘南時代の昨季も得点。移籍後初ゴールを決めてみせる(写真◎Getty Images)
戦術以外の部分で勝っていた
「結果がほしいです。ずっと言っていますが、早く数字を残してチームに貢献したい。その思いが一番強いです」
もちろん、チームに貢献していないわけではない。名古屋グランパスのFW山崎凌吾は持ち前のタフなフィジカルで前線で体を張り、187センチの長身を生かした空中戦やポストプレーでバトルを恐れず、守備に切り替わった瞬間に献身性の塊となって即時奪回のキーマンになる。
だが、リーグ戦ではノーゴール。湘南ベルマーレから加わった今季、13試合で287分の出場機会は得ているものの、結果で貢献できていない悔しさが身を貫く。
JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝でFC東京に0-3で、その次の明治安田生命J1リーグ第14節鹿島アントラーズ戦で1-3と連敗を喫していたから、その次の昨季王者横浜F・マリノスとの一戦は重要だった。この試合で2-1という気迫の逆転勝利を手にしたチームには、再び自信がよみがえっている。
「連敗したあとの試合だったので、マリノス戦は大きな勝ち点3になりました。みんながマリノス戦にかけた思いがピッチで表現された素晴らしいゲームだったと思います」
自身は87分からピッチに送り込まれて、2-1のスコアを守るいわばクローザーの役割を果たしたのだが、「僕自身は出場が短かったですけど、ベンチから見ていても球際の部分とか、戦術以外の部分で勝っていました」と感じていた。理屈を超えた気迫の勝利である。
だから、次の横浜FC戦でもその闘争心を忘れてはいけない。
「横浜FCは後ろからボール大事にして主導権を握ってくる印象があります。こちらは、いままでやってきたサッカーをアウェーで出すというのが大前提ですけど、ボールを持っていないところで相手に自由を与えないようにするとか、マリノス戦で見せた、戦術以外の戦うところで勝っていければ勝ち点3を奪えるのではないかと思います」
そんなバトルが勝負を分けるようなゲームは「自分の持ち味を発揮しやすい」とイメージしている。「FWとして真ん中にいることで、相手の脅威になることを意識して入っています」「限られた時間の中で結果を出すことを監督からも求められています。どのような時間に入ったとしてもしっかり結果を残すだけです。これまでも得意の形のチャンスがあったので、そこで決めきっていきたい」と神経を研ぎ澄ませていく。
9月13日の横浜FC戦は、ニッパツ三ツ沢球技場で行われる。徳島ヴォルティス時代の2016年、J2第22節の横浜FC戦ではここで先制ゴールを決めていて(2-0で勝利)、さらには2019年のJ1第29節、横浜FM対湘南戦、このスタジアムで湘南の唯一のゴールを決めたのが、山崎だった(1-3で敗戦)。相性はいい。
昨年のゴールは、GKの鼻先で体を投げ出して左足で押し込んだ泥臭いシュート。まさにこの人らしい一発だった。その再現を狙う。