上写真=8月15日にFC東京と対戦したばかり。0-1で敗れたが、次は勝つ(写真◎Getty Images)
「相手のゴール前にできるだけ進む」
マッシモ・フィッカデンティ監督は、プレゼントはしない。特にFC東京には。
9月2日に迎えるのは、JリーグYBCルヴァンカップの準々決勝。レギュレーションの変更で一発勝負となるここからの戦いは、3回勝てばカップウィナーの称号が手に入る。負けたらそこで物語は終わるから、過密日程ではあってもどのクラブもここに一つのピークを持ってくるだろう。FC東京も長谷川健太監督が「ベストメンバーで戦う」と宣言していて、もちろん対する名古屋グランパスも必勝の構えで臨む。
そのFC東京とはリーグ戦で8月15日に対戦したばかり。残念ながら0-1で敗れている。
「それぞれのチームの特徴は短期間では変わらないとは思います。ただ、川崎ともリーグとカップで戦って違った展開になったし、清水戦でも同様に違った表情を持った2つの試合になりました」
「あらゆる条件の中で何か一つでも以前にはなかったものが加わると、エピソードはガラッと変わります。流れをどう読むかが大事になると思います」
だから、前回の戦いがすべて参考になるとは限らない、と考えている。もちろん、結果も同じものにするわけにはいかない。
「ただ」と付け加える。
「負けなければ次へ突破できるから、両者の特徴を考えると負けない戦いになるかもしれません。それはリーグで戦ったときと同じような内容とも言えます。どちらも簡単なミスをしないようにするでしょうし、もちろんこちらから何かをプレゼントしてはいけないという入り方になります。東京も同じ戦いしてくるのではないでしょうか。しっかり(こちらの攻撃を)待った上で、ブラジル人選手や永井選手のスピードを生かしたカウンターを仕掛ける流れになるでしょう」
一般論としては「変わる」ゲームだが、いま、この両者に限って言えば「変わらない」ことも見据えながら準備を進めていかなければならない。だからこそ「流れを読むのが大事」なのだ。
「フィジカル的にも戦術的にも技術的にも、ほかのチームと対戦している東京を見ればある程度のアイディアは湧きますが、我々自身がものさしになって東京の力を計ると、試合をしたことでかなりはっきり全体像が見えたと思っています」
2週間前の対戦で得たリアルな情報が、その手にはある。ではこの試合で、負けない戦いをして勝つためには何をすればいいのだろうか。
「簡単なミスをしてはいけません。それから、攻める時間を増やすこと。それも、ボールを持っているだけではなくて、“本当に攻めている時間”を増やして、相手のゴール前にできるだけ進んでいく準備をしています」
ボール保持だけを高めてゴールに進入しない、いわばアリバイ的な攻撃は必要ない、という認識だ。攻めるなら、本気で攻め崩す。それが名古屋のやり方だ。