今季から川崎フロンターレの一員となった山根視来が、右サイドバックで勇躍している。しかし、名古屋グランパスに初黒星を喫したことで改めてゴールへの飢餓感を覚えている。勝利に貢献するために攻め抜く意欲は強烈だ。

上写真=攻め抜くサイドバックへ。山根は常にゴールを狙っていく(写真◎Getty Images)

「また違うダメージの受け方をしました」

 負け、というものがどんなものなのか、山根視来はその初めての経験をした。明治安田生命J1リーグ第12節で名古屋グランパスから食らった0-1の敗戦は、湘南ベルマーレから今季、川崎フロンターレに移籍してきた右サイドバックにとって、つまり新チームで初めての黒星だったのだ。「負けた直後は、いつもの疲労感よりもダメージを感じました」と言うのだが、どうしてだろうか。

「川崎で負けたのは初めてで、湘南にいたときとはまた違うものでした。川崎ではどこが相手でも負けてはいけないので、また違うダメージの受け方をしました」

 全勝をリアルな目標として設定してきたチームだからこそ、敗戦の重みもまた経験したことのないものだったのだ。

 悔やまれるのは、負けるべくして負けたわけではないことだ。「名古屋戦の前半の入りは悪くはなかったし、ピンチらしいピンチもセットプレーぐらいしかありませんでした。でも、一瞬のスキでやられてしまった。これまでもリードしていても失点してしまうことありましたが、チームとして直すというよりは、クロスを上げさせないとかラインを揃えるという個人技術の部分が大きいと思う」

 敗戦から素早く切り替えができているのも、チームとしての不備が大きかったわけではないことが影響しているようだ。

 ここまで1試合を除く全11試合に先発していて、フィールドプレーヤーの中では全試合フルタイム出場を続けるセンターバックの谷口彰悟に次ぐプレータイムを得ている。その984分という数字は紛れもない主力であることを意味しているが、それに甘んじることはないという。

「危機感があるというのはこのことなんだなと感じます。勝つのは大前提で、その中で自分が何をしたのかをみんな大事にしています。だからこそ、相手を凌駕するプレーが出てくるわけで、本当に素晴らしい環境でサッカーができています」

 ポジション争いに勝ち、試合に勝ち、その上で勝利に貢献できたかどうかを問われるのが、首位を走り続けるクラブなのだという実感だ。

 では、山根はどんなことで勝利に貢献するつもりなのか。

「ゴールになる前の絡みやゴールの起点になったというプレーも大事ですけど、直接数字に残すというところは全然納得がいっていません。もっと増やしていきたいと思っています」

 出場した11試合でゴールは2。この数字を増やしていく意欲は強烈だ。山根が自分に課したミッションは「サイドバックという名のストライカー」になることである。


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