上写真=いつでも全力で。そんな吉田の姿勢がチームを引っ張る(写真◎J.LEAGUE)
「スキを見せずにスキを突く」
J1第10節のFC東京戦は0-1の敗戦。今季2つ目の黒星を喫してしまったが、過密日程だからこそ、すぐに払拭しなければならない。首位を走る川崎フロンターレに遅れを取らないためにも、連敗は許されない。
リーグ、カップとも全試合に先発出場している驚異のサイドバック・吉田豊は、そのために「いろいろなこと」を実践する必要があると強調する。
まずは、アイディアを出すこと。
「FC東京戦だけではないですけど、サイドからいいリズム感で崩せないときに、後ろで回させられているという感覚があるんです。だから、もう少しバリエーションのある連動した動きがないと。ボールが動いているだけでは崩せないと改めて感じました。いろいろなアイディアを持っておかないと」
「引いた相手に自分たちの強みを消されて、何もできないまま90分を終わるのは、まだまだ未熟だということです。ゲームの状況によって変わると思うけれど、ミドルシュートを打って相手をはがす、無駄な動きでもハードワークして裏に動き出す、とか、いろいろとできることがたくさんあるんです。試合の中で試行錯誤して11人が連動して崩すことをしていかないといけないと思います」
そのためにはもちろん、走ること。
「(中2日で迎えたFC東京戦は)疲れもありましたし、各々でコンディションの違いもあったのは確かですが、強みの走力はもっともっと出さないといけないと思います。行けるところまで行くんだ、総力戦なんだ、ということをチーム全体で考えなければ」
その上で、戦うこと。
「球際の部分など、戦うということは誰でもできることです。もちろん疲れはあるけれど、闘争心はもっともっと出していかなければいけないと思います」
そして、サイドバックとして吉田豊自身ができること。
「推進力のある攻め上がり、前を助けられるフリーランというのは、深いところまで行けば可能性は高くなるのでいつも意識していますね。前の選手(サイドハーフ)によって自分のポジションを変えていて、そこは前の選手の良さを出すために考えています。マテちゃん(マテウス)にしても相馬(勇紀)にしても(前田)直輝にしても、彼らが生きるために連動して、強みを引き出そうとしています」
次の相手は湘南ベルマーレ。最下位だが、フィッカデンティ監督も警戒度を高めている。吉田はどう戦うつもりだろう。
「準備したことを相手にぶつけるのが一つです。ただ、自分たちのやりたいことを消されたときにどうするか。走力、ハードワーク、球際での戦いをしっかりやった上で、焦れずに相手が作ったスキを突く、という僅差のゲームになると思います。スキを見せずにスキを突く、ですね」
瞬間瞬間のプレーに100パーセントを注ぐというポリシーの背番号23に、油断という概念はないだろう。