8月12日、JリーグYBCルヴァンカップではグループステージの最終戦となる第3節が行われた。すでにプライムステージ進出を決めた柏レイソルはこの日も快勝し、3戦全勝。大分トリニータも若手を起用して多くのことにトライした。

上写真=北爪(右)が2ゴール! 柏が3連勝を決めた(写真◎J.LEAGUE)

■2020年8月12日 YBCルヴァンカップDグループ第3節(@三協F柏:観衆1,969人)
柏 3-1 大分
得点:(柏)細谷真大、北爪健吾2
   (大)渡大生

画像: ■2020年8月12日 YBCルヴァンカップDグループ第3節(@三協F柏:観衆1,969人) 柏 3-1 大分 得点:(柏)細谷真大、北爪健吾2 (大)渡大生

「プロとして勝負のかかった試合」

 勝敗が大会の行く末に直接的に影響しないゲーム。それでも最後まで多くの見どころを提供してくれたのは、選手たちのあきらめない気持ちのおかげだった。

 すでにプライムステージ進出を決めている柏レイソルと、敗退が決定していた大分トリニータ。チャンスを得た個々の選手のパフォーマンスに大きな焦点が当たる中、序盤からテンポよく試合を進めたのは、大分の方だった。

 この試合がプロデビューとなる10代の選手2人を先発させるなど、ローテーションしたメンバーが奮起、主に右サイドを中心に攻めた。20分、高山薫のスルーパスで右サイドを抜け出した松本怜が折り返し、小塚和季が軽やかにスルーして相手を欺いたところで、プロデビューコンビの1人である屋敷優成が狙ったシーンは象徴的だった。

 柏は前半は多くが後追いの状況になって苦しんだ。時折攻撃に出るが、どこかちぐはぐ。ネルシーニョ監督がハーフタイムに、ボールをしっかり保持していくこと、全体を押し上げてより高いエリアで守備を仕掛けることを指示すると、後半開始から形勢が逆転した。

 すると、今季初出場となった細谷真大が決定的な仕事をやってのけた。56分に戸嶋祥郎からボールを受け継ぐとドリブルを開始、右方向へ持ち込んでもまだ相手が寄せてこないスキを突き思い切り右足でシュート、これがDFに当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれるうれしいプロ初ゴールになった。さらに2分後には、中央の密集をダイレクトパスの連続できれいに割って、最後は北爪健吾が流し込んだ。この2点目が決定的で、一気に柏のペースで試合が進んでいく。

 70分には右ショートコーナーの流れから、クロスをまたもや北爪がヘッドで流し込んで勝負あり。北爪の1点目は細谷のヒールパスを受けて、2点目は鵜木郁哉の右からのクロスを、それぞれ決めたもの。18歳と19歳からのアシストを受けて、28歳の北爪は「若い選手には本当に感謝しています」と笑った。

 大分もメンバーを変えながらトライを繰り返し、最後まで試合を投げなかった。アディショナルタイムには小塚和季、井上健太とつないでこぼれたところを渡大生が角度のないところから蹴り込んで一矢報いた。

 これで柏はグループステージで全勝。特に再開後の2戦で快勝したことで、ネルシーニョ監督も選手たちを称賛。「もちろん、勝ったこともそうだが、選手たちが戦う姿勢を見せ、こちらの要求に真摯に向き合ってくれた。ゲームの中での判断も試合を重ねるごとに研ぎ澄まされていった」とチーム力の底上げに成功したことを喜んだ。

 一方の大分の片野坂知宏監督は敗戦に悔しさを噛み締めながらも、同じように選手を労った。「敗退は決まっていましたが、プロとして勝負のかかった試合です。前半はいいゲームをしてくれて、先制点を取れたらもう少し違う展開になったと思います」と振り返った。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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