上写真=フィッカデンティ監督は川崎Fに対して真っ向勝負を仕掛けるようだ(写真◎J.LEAGUE)
一生懸命走ればいいのではなく
真夏の大決戦がやって来る! 川崎フロンターレ対名古屋グランパス。J1リーグで好調を見せつける2チームが、JリーグYBCルヴァンカップのグループステージ最終節で激突するのだ。
レギュレーションでは引き分け以上なら両者ともプライムステージ進出が決まるが、マッシモ・フィッカデンティ監督は「準備の段階ではどんなに手強い相手でも勝つつもりで練習する」と必勝体制を築くつもりだ。
リーグ戦では前節で浦和レッズに6-2と圧勝していて、改めて攻守にレベルの高いサッカーを繰り広げている自負がある。それが「川崎のようなチームにできれば本物だと思う。いまの立ち位置を見たい」という意味合いも込めるからだ。川崎Fという今季、最高潮のクラブに勝ちに行くことで自分たちとの現実的な距離感をシビアに図りながら、今後の戦いにも生かしていく腹づもりなのだ。
もちろん、勝利を狙うにしても「勝ち方」を準備しなければならない。ビッグゲームだけにフィッカデンティ監督はまず、闘争心について話すのだが、「戦う気持ちや内側で燃える炎のようなものは欠けてはいけないものですが、こういう選手が入るとチームに気持ちを足してくれている(から起用する)という考えはありません」と特別視はしていない。なぜなら「全員が持っていて当たり前だからです」。
だから今回の決戦では「質の高い方向性でサッカーをしなければいけないというイメージで準備しなければいけない」と明かすのだ。
「川崎の強さは、試合を通して自分たちのペースでコントロールし続けることです。ボールを持たれれば、川崎がプレーする試合にしかなりません。だから、こちらもボールを持つことができるようにしなければなりません。相手が持っているときにどうやって奪い、逆にどういうときには持たせてもいいのか。その判断、そして技術的にボールを持ったら絶対に失わない、という部分の質を高くプレーしていきたい。ただ一生懸命走ればいいというのではなく、ボールが絡んだところでうまさを伴ったプレーが必要です。川崎がやりたいことをやってこちらが走らされるのではなく、こちらの時間も長くしたいと思います」
つまり、矛には矛の大勝負に出るというわけだ。
もちろん、「試合状況によっては、その場になってみてチームとしてどう終わらせるかを考えて、こうした方が賢いという場合は賢いやり方をしたいと思う」と勝負師の一面をのぞかせるが、それでもまずは川崎Fと同じ舞台に立って間合いを詰めるゲームプランになりそうだ。
これは、見ないと損をする90分になるかもしれない。