上写真=Jデビューの石田は思い切りの良い突破が魅力だ(写真◎J.LEAGUE)
「マテウス選手や相馬選手を脅かす存在に」
行け行け、行け〜!
いまはスタジアムで声を出せないが、そこにいた名古屋グランパスのファミリーたちは心の中でありったけの声を張り上げたのではないか。
J1第8節の名古屋グランパス対柏レイソル戦。74分にピッチに送り込まれて18歳でJリーグデビューを果たした石田遼太郎は、気持ちのいいぐらいに一直線にゴールを目指した。70分に右サイドでボールをもらうと、わき目もふらずに縦に突破してからセンタリング。85分にはピッチ中央で縦パスを受けてターンすると、ゴールに向かってぐいぐいとドリブルで突っかけた。スピード感と迫力は、スタジアムに詰めかけた4,678人の脳裏にグランパスの未来として刻まれただろう。
「リーグデビューできて気が楽になったのですが、ピッチ上でまだ何も残していません。そこは練習で意識したのでピッチで出せればと思います」
言葉のトーンは切れ味の鋭いドリブルにそっくりだ。強気。でもそれは、脚色されたものではなさそうだ。なぜなら、徹頭徹尾、同じ調子だったから。
「常に相手が嫌がるプレーをやらなければいけないし、縦に速い攻撃は僕の特徴でもあるので、数多く縦に攻められるように頑張りたい」
「柏戦は背後にスペースがなくて持ってから仕掛ける局面が多かったのですが、練習では裏に抜けることも意識できています。(ルヴァンカップの次戦の相手)エスパルスがどう守備してくるか分からないけれど、チャンスは狙っています。柏戦のようにボールを持って仕掛けられるようにして、(裏に抜けることと)2つを頭に入れてやっていきたいです」
「監督に求められているのはサイドハーフで柏戦のようなプレーをすること。そこでより目に見える結果を出せば、マテウス選手や相馬選手を脅かす存在になれると思います。僕がスタメンで出られる選手だというメッセージを監督に込めるためにも、エスパルス戦で目に見える結果が必要で、そこは意識していきたいと思います」
名古屋のアカデミー出身で、後輩たちに背中を見せることも自分の役割だと胸を張る。まさに、アニキ。
「(コロナ禍で)ユースの選手たちがすごく苦しんでいるのは寮生活の中で感じています。サッカー選手としてプレーできていて、試合に絡んで目に見える結果をユースの選手に見せて勇気づけるのは使命だと思っています。こういう状況だからこそサッカー選手がやるべきことは明白で、アカデミーのみんなに勇気を与えられたらと思います」
チームのために、自分のために、後輩のために、ゴールがほしい。その一心で戦う覚悟はできている。
「ユースのときからゴールを意識しています。ポジションに関わらず点が取れるのが僕の特徴で、マテウス選手や相馬選手よりもゴールを取って、自ずと僕をスタメンで使わざるを得ない状況を作ればマッシモも迷うと思います。とにかく、1試合でも早く点を決めたい」
8月5日が、この強気なアニキの初ゴール記念日になっても、おかしくはない。