上写真=大谷が先発復帰した湘南戦からチームは3連勝している(写真◎Getty Images)
いい競争が生まれている
リーグ再開後、3連敗を喫して苦しいリスタートとなっていた柏が息を吹き返したのは5節の湘南ベルマーレ戦。ネルシーニョ監督は完敗した4節の川崎フロンターレ戦から先発を6人変更した。その中の一人が、ボランチの大谷秀和だ。以降、大谷は浦和レッズ戦、ベガルタ仙台戦も先発フル出場。それぞれ4-0、5-1の大勝に貢献してみせた。
結果だけを見れば、メンバーが代わり、劇的にチームが生まれ変わったようにも映るが、大谷によれば、その見立ては間違いだ。チームが積み上げてきたものがいくつかの条件が重なり、湘南戦のタイミングで形になったというのが正しいという。
「再開から数試合経って、選手それぞれしっかりトレーニングを積んだ中で、コンディションが上がってきた。3連敗して自信を持てなかったところで、湘南戦で結果が出て、選手が自信を持ってプレーできるようになった。湘南戦の1勝はすごく大きかった。戦術面で大きく何かが変わったとか、やることを変えたということはないです」
リーグの中断期間中、柏は感染予防という考えから、対外試合を行なわなかった。チームに関わる人々の安全を第一に考え、リスクを徹底的に排除。しかるべき時が来たらサッカーに向き合えばいいという考えを持っていたからだ。そのことでリーグの再始動への準備が間に合わなくても仕方がないとの割り切りがあった。そのためネルシーニョ監督も口にしているが、リスタート後しばらく苦労することは織り込み済みだった。
実際に3試合を経て、チームは目指すべき形をピッチで表現できるようになってきた。
「やはり試合をやっていくことでゲーム体力だったり、試合勘というところは上がってきていると思います」
「最初は難しくなるのは、対外試合をやっていなかった中で、全員が覚悟していた部分。3連敗の中で一つでも勝ち点を積みたかったというのは思いますし。悪いなりももっとできることはあったんじゃないかとは思いますが、今は監督のやりたいことがピッチ内で体現できる時間が増えています」
大谷も現状のV字回復が想定内だったと明かした。
勝利を重ね始めたことで好循環も生まれている。自らの戦い方に自信を持ち、さらに多くの選手たちが出番を得て結果を出したことでチーム内の競争が激しくなった。つまりは目指すチーム像に日々、近づいている。
「ケガ人が出るのは仕方がないことですが、そもそも11人だけは勝てません。『全員にチャンスがある』と監督も言い続けていますが、湘南戦では実際にメンバーが入れ替わって結果が出た。
この間の瀬川(祐輔)のように、昨年からずっと主力で戦ってきた中で、ああいう形でしたけど(仙台戦で負傷した神谷優太に代わって登場)、結果を出した。(仲間)隼斗が活躍したことで刺激を受けていたと思うし、健全な競争につながっていると思います。本当に監督はよく見ている方なので、トレーニングで良ければ試合で使ってくれる。そして使ってもらったときにそのチャンスをなんとか生かそうと選手が思う。今、いい効果がチームに表れていると思います」
次は、名古屋戦。新型コロナウイルスの影響で前節の広島戦は延期となったが、今季、まだ1敗もしていないチームだ。
「負けなしで好調ですし、組織立った守備をしながら、点を奪える選手もいて、各ポジションに質の高い選手もそろっている。中谷進之介は一緒にやっていた仲で、たまに連絡も取るんですけど、チームの調子が良さそうなのは伝わってきます。今はいい状態で連勝できていますし、何とかそういう相手に良い戦いだったり、いい結果を残して自分たちもさらに弾みをつけたい」
さらに自信を深めるには、格好の相手。柏は明日、4連勝をかけて豊田スタジアムに乗り込む。