上写真=柏戦では柴戸海(右)と武藤雄樹と個性の響き合いが光った(写真◎Getty Images)
「組み合わせ」を考える
柏レイソルにまさかの4失点…。浦和レッズのJ1第6節はショッキングな大敗となった。それから2日。大槻監督が強調したのは「いつもと同じ」だった。
「リーグが再開してから試合と試合の間に3日ありますから、前の試合のフィードバックをして次の試合の準備をしてトレーニングを組んで、前日にまた準備をして、という流れは変わりません。今回もその段階を踏んでいます」
「選手ともきちんと準備をしているつもりです。試合が来ることは喜ばしいと思っていますし、選手と準備したものをしっかりと出す、そのために1日1日を大切にしてやっていきたい。これまでもそうですし、これからも変わらずやっていきたいと思います」
ルーティーンをていねいにこなすことで、大敗後の切り替えをスムーズに行っていく意図だろう。
もちろん、柏戦の90分にはポジティブな側面もあって、大槻監督はそれを「主体的」という言葉で表現していく。
「チームを立ち上げたときから『主体的に』という言葉を使ってきました。相手との兼ね合いもあるので、それが多いとか少ないというところはあると思うんですけど、そこの部分は目指していきたいところです。攻守が分かれるのではなくお互いに関わり合いながら、攻撃のところと守備のところで分けるのではなく、守備から攻撃に変わっていくときに起こりうる現象を自分たちから作り上げたいし、攻撃から守備に切り替わってどういう守備から入るかというところも主体的にやりたいと思っています。表面上で『攻撃が〜』ということだけで区切って表現されない部分を、みんなで主体的にやっていきたい思いが強いです」
このように、チーム全体の共通項を設定した上で、選手それぞれの個性を散りばめていくことも、監督のマネジメントの一つだろう。例えば柏戦では、ボランチの柴戸海と最前線の武藤雄樹が、同じスペースを同じタイミングで感じ合うことでボールを受け渡してチャンスを作り出している。個性の響き合い。
「常に組み合わせは考えています。同じポジションの組み合わせ、前後の組み合わせ、左右の組み合わせ、2人だけではなくて3人とか横一列の組み合わせ、といったようにですね。チームみんなでプレーのモデルを共有していますが、そのタスクの中で、ピッチに入った選手ができることで色をつけてほしいとすごく思っているんです。その組み合わせでいいところが出てくるのは喜ばしいことだと思っていますし、目指したいところだと思っています」
メンバー選考にはもちろん選手のコンディションや相手との関係もあるが、ピッチに並んだ11人がどんな理由で選ばれたのかを想像することも一興。
浦和の次の相手は横浜FC。率いるのは、こちらもさまざまな引き出しを持つ下平隆宏監督である。お互いにアカデミーの監督時代に何度も対戦した仲だという。そんな2人が相手をにらみながらどんな組み合わせを整えて臨むのか、楽しみだ。