「彼にとって本当に良かった」
マッシモ・フィッカデンティ監督が手放しで喜んでいる。
「高く評価しています。経験が足りなかったけれど、運動量もあって質の高いプレーができる選手です。若さがいい方向に出ていると思います。積極的により良い選手になりたいという欲を持っていて、さらにどんどん強くなっているのが分かります。最初はチーム事情から使わざるを得なかったところもありますが、それを生かして最高の状況になっています。彼にとって本当に良かったと思います。私だけではなく、彼が素晴らしいプレーをしているということは皆さんも思ってくれるはずです。より貪欲にやってもらいたいと思います」
アカデミー育ちの右サイドバック。2018年は1試合14分、2019年は1試合45分という出場履歴だったが、今季はルヴァンカップとJ1リーグ全試合に先発出場中。しかも、これだけ指揮官に高く評価されているのだから、楽しみな存在だ。
ルヴァンカップ1勝、リーグ3勝2分けと、今季は1度も負けがない。成瀬もフィッカデンティ監督の教えを忠実に守ろうとしていて、まず手応えを明かすのは守備の部分。
「チームがここ2試合続けて失点ゼロで抑えられていることは、自分としてポジティブに捉えています。守備的な面では1対1で負けないところが大事で、しっかりと守りきれているのはチームとしても個人としてもすごく良くできているところだと感じています」
中でも、攻守において「人を使う」ことによって自分が助けられている感覚があるという。
「周りの選手を動かしてコースを限定することによって、どこにボールが出てくるかが予測できるので、味方をうまく動かすことで自分のところで取れているシーンが増えているのはいい点だと思います」
「ボールを持ったら、遠くから判断してつけられるところからつけていくようにしています。そこで攻撃のスイッチが入れば自分も前に出ていけるので、そこはすごく意識するようにしています」
その意味でも、まずは「地盤」が固まっていることが安心感につながっているだろう。右サイドバックとしてはセンターバックの右、つまり中谷進之介との関係が重要になってくる。
「始めの頃に比べて、特に同サイドのしんくんとはしゃべる機会が多いので、自分がどのタイミングで行ったほうがいいか、下がったほうがいいのかは、ちょっとした会話で共有できるようになってきています」
連係が深まるというのはこういうことなのだろう。
次節は大分トリニータ戦。勝負のキーポイントには、自分を挙げている。
「サイドバックがキーになってくると思っています。自分がどれだけフリーランや攻撃参加ができるか、そしていいクロスを上げたりどんどん縦に出して、自分も出ていくプレーが増えれば、サイド攻撃が厚みを増してシュートシーンが増えると思います。サイドバックとしての役割を果たしたいと思います」
前線のタレントは豊富だから、そこにどれだけ有効なパスを送ることができるか。将来有望な19歳のアシストが決まれば、勝利にぐっと近づくはずだ。