上写真=すべてがスーパープレー。レアンドロ・ダミアンがゴールショーの主人公だった(写真◎小山真司)
「やるべきことができている」
FC東京から前半だけで4ゴール。まさに「フロンターレゴールショー」という趣だが、このすべてを生み出したプレーは圧巻だった。レアンドロ・ダミアンである。
17分。左サイドからの登里享平のスローインをペナルティー・エリア内で受け、相手DFを手と背中でがっちりブロックして足元にボールを誘い込むと、右足で中央後ろへ優しいワンタッチパス、大島僚太の右足弾丸ショットを導いて、1アシスト。
23分。右サイドをぶち抜いた山根視来がゴールラインぎりぎりからマイナス方向に折り返す。これを感じていた背番号9は相手DFの背後から加速してニアに飛び込むと、立ち足の後ろに回した右足のヒールで流し込んで、1ゴール。
28分。右サイドにボールが運ばれる間に相手の死角に入りながら中央からファーへと進路を変え、そこに家長昭博のサイドチェンジがぴたりと飛び込んでくる。巧みに体を開いて後ろを向いて右足インサイドのベルベットタッチで戻すと、長谷川竜也が蹴り込んで、2アシストめ。
45分。再び右サイドの山根との感性の響き合いだ。右深くに走り込んだ山根が田中碧からの浮き球のパスをダイレクトで中央へ折り返すと、予感していたかのようにまたもやニアに入り込んで右足でシュート、これがDFに当たってこぼれた先に入っていた長谷川が押し込んだ。3アシストめ。
1ゴール3アシスト。ゴールについては「日頃からああいう練習をしているし、イメージより強いボールが入ってきたけれど、(山根)視来のセンタリングが素晴らしいゴールを生み出してくれました。日本に来てからこういうかかとでのシュートは、去年の清水戦に続く2点目です。あのようなゴールをたくさん生み出していきたい」とテクニカルな一発がお気に入りのようだ。
それでも本人は「もっと取れるチャンスがあったけれど、ちょっとしたところで取れなかった」と悔やみもした。ゴールへの欲は尽きない。
移籍1年目の2019年はリーグ戦23試合で9得点だが、先発は10試合と半分以下だった。適応しきれていない反省もあったが、この試合のパフォーマンスで不安は払拭されただろう。昨季との違いから、活躍の要因を4-3-3の新システムに求める向きもあるが、本人は落ち着いて、より根源的な部分にスポットを当てる。
「去年から比べて、システムは変わっても戦術は変わっていません。基本的にやるべきことができているということだと思います。去年より自信を持ってプレーを表現できているのです」
戦術や技術の前に「心」の部分が変わったというのだ。では、自信を持てるようになった理由は?
「ゲームに出ることができていることが、自信につながっています。そして、仲間からも信頼されているので、楽にプレーできるのではないかと思います。
何よりも大事な「信頼」を得て、さらなる高みへと突き進んでいく。