7月17日の明治安田生命J2リーグ第27節で、横浜FCがジェフユナイテッド千葉を4-0で下した。1トップ2シャドーのトライアングルに、右のワイドのイサカ・ゼインを加えたメカニズムが機能したが、ここに左サイドのアタックが加われば、さらに攻撃力がアップする。

上写真=渡邉千真はシャドーに入って生き生き。力強いシュートからのゴールも見事だった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年7月16日 J2リーグ第27節(ニッパツ/5,766人)
横浜FC 4-0 千葉
得点者:(横)小川航基2、渡邉千真、長谷川竜也

「左からの攻撃を増やすのは課題」

 横浜FCがジェフユナイテッド千葉からゴールを奪ったのは、小川航基、渡邉千真、もう一度小川で、最後は長谷川竜也だった。前線でトライアングルを組む3人である。決めるべき人が決めるのだから、強い。

「いい距離感でできているので、なるべく前に入っていっていい攻撃ができていると思います」

 渡邉も充実の表情だ。最前線に小川、その後ろに右に渡邉、左に長谷川が立つのがオリジナルのポジション。ここが流動的になるのが相手には厄介だが、その流麗な関係が得点になったのが、渡邉が左足で突き刺した31分の2点目である。

 右からのイサカ・ゼインの折り返しにニアに小川が走って相手を釣ってスルー、渡邉を中央でフリーにしたコンビネーションが際立った。「あれはもう、後ろに千真さんがいたのがわかっていたし、1点取っていた僕にマークが寄ってくるのもわかっていた」と小川。

 あるいは、ゴールにはならなかったが、その前の28分だ。最終ラインでガブリエウが中間ポジションに入った長谷川を見逃さずに縦パスを打ち込むと、前を向いた瞬間に小川が左裏、渡邉が右裏に抜け出した。長谷川は渡邉にスルーパス、パスが少し流れてGKに収められたものの、これも素晴らしい関係性の賜物で、渡邉にとっても納得のプレーだった。

「あそこで竜也が前を向いたときに裏に飛び出すというのは、チームとしての形でもありますし、相手もマークにつきにくいと思うんです。ああいう場面をもっと増やしていきたいですね」

 もちろん改善の余地もあって、長谷川はキャプテンらしく冷静に振り返る。

「相手にもチャンスはありましたし、そこで決められていたら難しい試合になっていました。今日は自分たちの質が少し上回っただけで、4-0というスコアになったけれど、そういうゲームではなかったかなという印象です」

「出来すぎだった」という四方田修平監督の実感と合わせて考えても、手放しで喜ぶには少し早いということだ。

「前につけられるときにつけられなくて消極的な横パスになってそこで取られたり、周りが顔を出してあげれば、というところで出せていなくてミスにつながっています。相手の守備にはまったときこそ自信を持って顔を出してサポートしようと話していて、後半はそこが修正できたかな」

 長谷川の落ち着き払った言葉をつなぐように、渡邉も「顔を出す」ことへの積極性を自らに求めた。

「もっともっと受けられると思うし、ボールを引き出すところはやらないといけないと思っています。チームとしても、プレッシャーがかかった場面でもかいくぐれる外し方をしないと。そういう役割をした上で、どれだけゴール前に入っていけるかだと思います」

 ところで、横浜FCは守備のときに4バックでバランス良くスペースを埋めるのだが、攻撃に切り替わるときに右サイドでイサカがワイドのエリアを担当している。この右からの突破が大きな武器になっていて、千葉戦でも2点目と3点目はイサカがアシストしている。

 一方で、4バックにボランチが2人で前線では1トップ2シャドーなので、左にはイサカのようなワイドアタッカーがいないことになる。武田英二郎を左サイドバックで起用したのはその機能を託すためで、「攻撃を活性化させるためにアグレッシブな武田を起用した」と四方田監督も明かしている。ただ、千葉との力関係もあって、この試合では左からの崩しは数えるほどだった。

「最終ラインを4枚にして守っているので、(武田の)スタートのポジションが低いのは確かです。そこから高い位置に入るのには時間と労力がかかります。だから、結果的に右肩上がりになって右が増えるのはしょうがないところでもあります。でも、左からの攻撃を増やすのは課題だと思っています」

 四方田監督が仕込んだ「右肩上がり」の攻撃のメカニズムが結果を残している。逆に、左サイドがいわば「開拓の地」ということだ。ここに新たな進化を仕込むことができれば、さらに強力な攻撃力が身につくことになる。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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