上写真=J2山口への武者修行から戻ってきた宮代がJ1デビュー!(写真◎小山真司)
「覚悟を持って帰ってきました」
Jリーグが再開した、というだけでも明るい話題だが、加えて若い才能の躍動を見ることができるのも大きな喜びだろう。7月8日、FC東京を4-0と寄せ付けなかった川崎フロンターレの場合で言えば、例えばFW宮代大聖だ。
川崎Fのアカデミー育ちだが、昨季は約半年間、J2のレノファ山口へ武者修行に出た。19試合で2得点。ゴールこそ少なかったものの、巧さ、強さを存分に発揮し、19歳ながらその存在感は紛れもなくエースのそれだった。
「公式戦に出ることができたので、緊張感というか雰囲気を経験できたのはポジティブな要素です。僕はフロンターレでしかやったことがなかったので、他のチームで違った戦術で刺激をもらうことができました。自分の中では密度の濃い半年間でした」
「今年は覚悟を持って帰ってきました。結果を出し続けるのが目標だし、試合に絡み続けるというのが目標でもあります」
ルヴァンカップの清水エスパルス戦で先発して62分間プレー。中断期間の5月26日に20歳を迎え、成人後初の出場、そしてJ1デビューとなるのがそのFC東京戦だった。レアンドロ・ダミアンに代わって84分からピッチへ。
「硬くなる緊張感はなかったけど、ほどよい緊張感で試合に入れたと思います」
「ピッチに立ったのは目標としていたので良かったと思います。でもこれはスタートラインなので、ここから結果を出していかないといけない立場です。そこは意識しながらやっていきたい」
悔やんでいることがある。シュートを打てなかったのだ。
「最後の時間帯でお互いに疲れている中での投入となったので、もっと攻撃のアクセントを加えられたら良かった。シュートを打てなかったので課題が残ります。もっともっと自分が入って何かを変えられるようにしないといけないと思います」
なぜなら、シュートに自信があるからだ。
「自分の特徴はゴール前の駆け引きで、シュートに自信があります。自分のストロングを理解して練習から出していくことが必要です」
「点を取ることは練習中でも意識していますし、この世界で生き残っていくのに必要なことです」
点を取る。結果を出す。どれだけこの言葉が口を突いてきたことか。生粋のストライカーらしく、すべてはそこに集約されるのだ。
攻撃サッカーを標榜する川崎Fでは、もちろん多士済々の才能があふれている。20歳の若手が入り込むスキは少ないのかもしれない。でも…。
「名のある選手たちが揃っていて実力もあって、言い方は難しいんですけど……いいライバルでもあり、いいチームメートという関係性です。でも僕もスタメンを狙っていますから、結果を出し続けなければいけません」
有言実行を貫くシーズンは、まだ始まったばかりだ。