険しい表情の中にも充実感を漂わせていた米本(写真◎杉園昌之)指揮官の「タイミング、テンポ」
指揮官から「タイミング、テンポ」
1月21日から29日までタイで1次キャンプを実施したのち、31日から沖縄県島尻郡南風原町で2次キャンプを行なっている名古屋グランパス。2月2日午前はフィジカルを中心にボールをあまり使わず、約90分間みっちりと汗を流し、経験豊富な丸山祐市らが大きな声を出しながら、チームを盛り立てていた。
午後は戦術トレーニングが中心で、ハーフコートに10人が入り、4-2-3-1のフォーメーションで相手を入れずにボールの動かし方を確認した。就任2年目となるマッシモ・フィッカデンティ監督は身振り手振りで指示を送り、センターバックからサイドバックへ、サイドバックから中盤へとつなぎ、最後のフィニッシュに至るまでのルートを細かくチェック。指揮官から「タイミング、テンポ」と声が上がると、スピードアップしてゴールまでボールを運ぶシーンが見られた。
ゲーム形式のトレーニングでは素早い攻守の切り替えを徹底。攻撃側がテンポ良くパスを回せば、守備側も足を止めずにプレスをかけ続けた。精力的な動きが目立ったのは、中盤の要となるボランチの米本拓司だ。
「1次キャンプから走り込んできたので、走れる体ができてきた。いまはベースの部分をつくっているところ。新しい選手も入ってきたし、それぞれの特徴を知ることも大事です。昨季とはメンバーも違うので、チームは変わってくると思います」
今季、湘南ベルマーレから完全移籍で加入したFW山崎凌吾は、期待される新戦力の一人だ。この日は別メニューで調整していたが、タイでの1次キャンプを踏まえた上で、自らの役割を理解していた。
「サイドから良いボールが来るので、クロスの入り方は意識しています。ただ、チームのやるべきことをやらなければいけない。もちろんフォワードなのでゴールは求められますが、守備になると、僕が最初にスイッチを入れる必要がある」
昨季はシーズン途中で監督が交代し、チームの方向性も急転換。苦しみながら13位に沈んだものの、今季は昨季からの上積みがある。キャンプで着々と足場を固め、開幕に向けて順調に準備を進めている。
文・写真◎杉園昌之