上写真=後列左からタリク、茨田、畑、三幸、堀田。前列左から馬渡、石原、福田、舘、岩崎、大岩(写真◎BBM)
3歩進んで3歩下がったから今季は前進する
ベルマーレ平塚から名称が変わって今季で20年目を迎える湘南ベルマーレが、2020年シーズンの新体制発表を行い、今季の新戦力13名が一堂に会した。
2019シーズンは夏場まで1桁順位を狙える位置にいながら、8月12日に曹貴裁監督のパワハラ問題が発覚したことを境にチーム状況は急速に悪化。27節・清水戦(●0-5)、28節・川崎F戦(●0-6)を含め、12戦連続で勝利に見放され、その間に急遽、当時U-18の監督を務めていた浮島敏氏がトップチームの監督に就任。最後は徳島ヴォルティスとのJ1参入プレーオフまでもつれ込んだ末にJ1残留を決めた。
まさに波乱万丈の2019年を終え、新たに迎えるシーズン。チームには15名の新顔が加わった。今季のチーム編成に関わった坂本紘司スポーツダイレクター(以下SD)は、補強ポイントとして、次の2点を挙げる。
「まずは、競争力の高いチームを作りたかった。これまでのように、誰が試合に出るかはギリギリまで分からない、日々の練習で監督が良いと感じた選手が試合に出る、そんなチームにしたいと思いました。
もう一つは、湘南ベルマーレに来てプレーしたいというモチベーションを持っている選手であるということ。この2点を踏まえ、とてもいい編成ができたと自負しています」
昨季までも、誰かがいなければ成り立たないチームではなかった。試合ごとに活きの良い選手がピッチに立ち、試合ごとに活躍する選手が変わるのも湘南の特徴だ。そして、選手のモチベーションを重視することも、昨季までの曹監督の路線を引き継いでいる。昨季、揺れに揺れたチームだが、2020年、ここに至るまでに何年も掛けて築き上げてきた“湘南スタイル”は、変えない。昨季途中に火中の栗を拾う形で監督に就任し、今季初めてJ1チームをシーズン最初から指揮する浮島敏監督も言う。
「今季のスローガンは“前進”です。昨季のスローガンは“加速”。夏まで良い戦いをしましたが、その後は難しい状況を経て残留争いをしてしまった。3歩進んで3歩下がった。そうではなく、これまで培ってきたベースから確実に1歩前進をするぞという意味です。湘南スタイルをサッカーの面で前進させられるメンバーが揃いました」
浮島監督は、湘南には2011年から所属し、曹監督の下でコーチを経験。2013年からはチームのアカデミーダイレクターとして、トップチームのスタイルを育成組織に落とし込むための中心的存在として活動してきた。いわば、誰よりも湘南スタイルを熟知する男だ。
そんな浮島監督が目指す“前進”とは何か。坂本SDは言う。
「古巣に復帰してくれた石原(直樹)を筆頭に、福田(晃斗)も、大岩(一貴)も、非常にサッカーをよく知っている選手。湘南は若いチームだけれど、これまで若さゆえに行き過ぎてしまう面もありました。これまでのスタイルをベースにしつつ、これまであまり得意ではなかった、試合をコントロールすることや、ボールを握ることもやっていかなければ、チームとして前進できない。新加入の選手には、そういう部分を補ってほしいと思っています」
圧倒的な走力をベースにしたハイプレスと、次々に人が追い越していく波状攻撃が特徴の湘南ベルマーレは、2020年、その特徴は引き継ぎながら、相手や時間帯、得点差を見ながら、ボールを握って試合をコントロールする「大人のサッカー」でもうワンステップ上のチームを目指す。
◼湘南/トップチームメンバーと背番号
No. Pos. 名前
1 GK 富居 大樹
2 MF 金子 大毅
3 DF 馬渡 和彰★
4 DF 坂 圭祐
5 MF 古林 将太
6 DF 岡本 拓也
7 MF 梅崎 司
8 DF 大野 和成
9 FW 指宿 洋史
10 MF 山田 直輝
11 FW タリク★
13 FW 石原 直樹★
14 MF 中川 寛斗
15 MF 福田 晃斗★
16 MF 齊藤 未月
17 FW 大橋 祐紀
18 MF 松田 天馬
19 DF 舘 幸希★
20 FW 岩崎 悠人★
21 GK 後藤 雅明★
22 DF 大岩 一貴★
23 MF 茨田 陽生★
24 MF 澤田 恒
25 GK 谷 晃生★
26 DF 畑 大雅★
27 FW 若月 大和★
28 MF 鈴木 冬一
29 MF 三幸 秀稔★
30 MF 柴田 壮介
31 GK 堀田 大暉★
38 DF 石原 広教★
44 DF 毛利 駿也
★=新加入、昇格