AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ第5節で11月28日、I組の川崎フロンターレはジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)とのホームゲームに臨んだ。前半から主導権を握り続けた川崎Fは、次々にチャンスを作ってはゴールネットを揺らし、すべてスーパーなゴールで5-0と圧勝、5連勝で堂々と首位通過を果たした。

上写真=家長昭博が脇坂泰斗の祝福を受ける。5-0の大勝はここから始まった(写真◎Getty Images)

■2023年11月28日 ACLグループステージ第5節(@等々力)
川崎フロンターレ 5-0 JDT(マレーシア)
得点:(川)家長昭博、レアンドロ・ダミアン、マルシーニョ、小林悠、山根視来

「アジアでは弱いと言われてきて」

 家長昭博、レアンドロ・ダミアン、マルシーニョ、小林悠、山根視来。すべてが美しく力強いゴールだった。

 最初からパーフェクトゴールだ。川崎フロンターレがわずか8分で決めた先制ゴールは、あまりにもきれいな崩しから生まれた。

 中盤で相手を囲んで奪い切ると、まずは右ウイングの家長昭博が左に回って、ショートパスの連続で押し込んだ。そこから中央にいたインサイドハーフの脇坂泰斗を経由して、右センターバックの大南拓磨へ。そこから右サイドバックの山根視来に広げると、大南はその裏のスペースにそのまま走り抜け、山根のパスを引き出した。ニアにはセンターフォワードのレアンドロ・ダミアンが、中央には左ウイングのマルシーニョが入ってきた。大南の低いセンタリングはさらにその向こうに構えていた家長のもとへ届くと、左足でダイレクトで蹴り込んだ。「ボールがこぼれてきたので、最後は押し込むだけでした」とは殊勲の家長。

 相手の攻撃を素早い切り替えで止めてボールを奪いきり、そこから16本のパスをつなげて、ポジションにとらわれることなく相手の嫌なところを突いて崩しきる。見事だった。

 今度は50分、レアンドロ・ダミアンが決めてみせる。脇坂が右に開いた家長に渡すと、中央でフリーになったレアンドロ・ダミアンにシンプルにクロスを送った。「スペースが空いていて、ダミアンはいつもあの辺にいるので、いつもやっている感じで上げました」という家長からのボールを、ダイレクトボレーでたたくと、左ポストに当たって転がり込んだ。

 次は60分。CKの流れからこぼれ球を脇坂が右外へ。山根視来が逆サイドへレーザービームクロスを送ると、マルシーニョがダイビングヘッドでゴール左に送り込んで、試合を楽にした。9分後には交代選手のコンビで追加点だ。相手のクリアが小さくなったところを右で拾い、細かくつないで抜け出したのは、交代したばかりの遠野大弥。ていねいなクロスを送ると、同じタイミングでピッチに入っていた小林悠がヘディングシュート、GKにはじかれるが、そのボールを美しいジャンピングボレーで仕留めてみせた。

 まだ終わらない。試合を締めたのは山根の左足だった。右サイドに回っていた小林が内側のジョアン・シミッチへ、するとペナルティーエリア内にずばりと差し込んで、宮代大聖がワンタッチで落としたボールを山根がダイレクトで左足でゴール右にていねいに送り込んだ。鬼木達監督も「あとから出た選手も含めていい形からのゴールで、きれいな形でしたしうれしかったですね」と笑顔で振り返った。

 5-0という完勝で5連勝を果たし、悠々とグループステージの首位突破を決めた。家長は「目標にしていたのでうれしい」、鬼木監督は「喜ばしいことだし、選手がやるべきことをやってくれた。どうしても今日決めたかったので良かった」と、まずは最初の一歩を踏み出したことを評価した。川崎Fとしては、2大会ぶりにグループステージを突破したことになり、敗退した昨年のリベンジに成功。そして、その先を見据える。

 小林悠は決然と言う。

「ずっと取れていないタイトルですし、フロンターレはアジアで弱いと言われてきているので、優勝してフロンターレの強さをアジアに見せつけたい」

 悲願のアジアチャンピオンの座に向けて、突き進んでいく。


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