いよいよ東京オリンピックのサッカー女子も残り2試合。8月5日には3位決定戦でアメリカとオーストラリアが顔を合わせた。地力の差を示すようにアメリカがリードしながら試合が進んだが、90分にオーストラリアが3-4まで追い上げて最後まで緊迫の戦いに。何とか逃げ切ったアメリカが銅メダルを獲得した。

上写真=アメリカが2大会ぶりのメダル。色は銅だが、実力はやはりトップクラスだった(写真◎Getty Images)

■2021年8月5日 サッカー女子3位決定戦(@茨城カシマスタジアム)
アメリカ 4-3 オーストラリア
得点者:(ア)メーガン・ラピノー2、カーリ・ロイド2
    (オ)サム・サマンサ、ケートリン・フォード、エミリー・ギルニク

・アメリカメンバー:GKエードリアナ・フランチ、DFケリー・オヘーラ、ベッキー・サワーブラン、クリスタル・ダン、ティエルナ・デービッドソン、MFサマンサ・ミューイス(61分、ローズ・ラベル)、ジュリー・アーツ、リンジー・ホラン、FWクリステン・プレス(85分、エミリー・ソネット)、カーリ・ロイド(81分、アレックス・モーガン)、メーガン・ラピノー(61分、トビン・ヒース)
・オーストラリアメンバー:GKティーガン・マイカ、DFクレア・ポーキンホーン(73分、エミリー・ギルニク)、アラナ・ケネディ、ステファニー・ケートリー、MFヘーリー・ラソ(67分、コートニー・ネビン)、エミリー・バンエグモンド、クロイ・ロガーゾ(67分、​​カーラ・クーニークロス)、タメカ・ヤロップ(87分、ローラ・ブロック)、FWカイア・サイモン(67分、メアリー・ファウラー)、サム・サマンサ、ケートリン・フォード

オーストラリアは初のメダルにわずか届かず

 アメリカが最後に意地を見せた。2019年バロンドール(年間最優秀選手賞)に輝いたメーガン・ラピノーが美しい2つのゴールを決めれば、同じく経験豊富なカーリ・ロイドも2ゴールで続き、ベテランFWの決定力で銅メダルを持ち帰ることになった。

 女子サッカー界を常に牽引してきた「女王」アメリカにとって、前回のリオデジャネイロ・オリンピックでベスト8止まりだった屈辱を晴らすには、金メダルが絶対だった。しかし、準決勝でカナダに敗戦、3位決定戦に回った。対するオーストラリアは、これまでアメリカと戦った30回の国際Aマッチで勝ったことは一度しかがなく、初めてのメダルがかかった試合で「2度目の勝利」を狙う決戦になった。

 今大会ではグループステージ第3戦で一度、対戦していて、0-0で終わっているが、この試合は早々に動く。8分、オーストラリアのGKティーガン・マイカのファインセーブで得た左CKを、ラピノーが蹴る。マイカがわずかにポジションを前に取っていて、ラピノーはそれを見逃さずに直接ゴールを狙った。鋭く曲がったボールが見事に飛び込んで、アメリカが先制だ。

 17分に最終ラインのつなぎのミスから最後はサム・サマンサに蹴り込まれて同点に追いつかれるのだが、その4分後にスーパーゴールが生まれた。アメリカの右からのクロスを相手がクリアミス、これをラピノーがそのままダイレクトで右足ボレーシュート。きれいにゴールに突き刺さった。

 勝負の流れを決めたのは、ハーフタイムを挟んで決まったロイドの2つのゴールだろう。45分+1分にリンジー・ホランが左サイドでハイプレスで強奪したボールを受けると、左足でゴール右に蹴り込めば、51分にはロングパスに対応した相手がGKへバックパス、しかし連係が合わず、これを抜け目なく狙っていて奪い、GKと1対1になると、冷静に股下を抜くフィニッシュを決めてみせた。

 ラピノーとロイド。アメリカの強さと技術の高さを象徴する2人の鮮やかなゴールが、3位決定戦に華を添えた。

 とはいえ、勝負は最後までわからなかった。この時点で4-1とアメリカがリードして、さらなる攻撃の意欲を失わなかったが、初めてメダルに手をかけたオーストラリアもあきらめない。54分に右からのクロスをファーサイドで待ち受けていたケートリン・フォードが力強いヘディングシュートで決めれば、90分にはカウンターからエミリー・ギルニクがゴールに向かってぐんぐんとロングドリブル、最後はペナルティーエリア手前から右足を振り抜いて驚きのミドルシュートを突き刺した。

 3-4と1点差にまで追い詰めたオーストラリアは、4分が目安のアディショナルタイムにも攻め立てた。しかし、最後はアメリカが堅牢な壁を築いて跳ね返し、試合終了。オーストラリアの初メダルはならず、アメリカが銅メダルを手に有終の美を飾った。


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