明日11日に決勝が行なわれる高校選手権。昨年度の決勝は、静岡学園が0-2のビハインドをはね返す劇的な逆転勝利を飾り、青森山田の連覇を阻止した。歴史的な激闘となった1年前のファイナルを振り返る。

上写真=逆転ゴールが生まれたのは85分。FKからファーサイドでフリーとなった中谷がヘッドで合わせた(写真◎BBM)

王国復活の単独優勝

 2020年1月13日に埼玉スタジアムで行なわれた決勝には、5万6025人の大観衆が詰めかけた。静岡学園は大会無失点で勝ち上がってきたが、18年度大会に続く連覇を狙う青森山田は11分、FKをDF藤原優大がヘッドで合わせて早くも均衡を破る。さらに33分、エリア内へのパスに走り込んだMF武田英寿がGKに倒されてPKを獲得。これを武田が自ら決め、リードを広げた。

 しかし、青森山田の黒田剛監督が「2点目を取ったあたりから守勢に回ってしまった」と振り返ったように、青森山田のプレッシングの強度が落ちたのに乗じて、静岡学園が反撃に転じる。前半アディショナルタイムの45+2分には、FKのこぼれ球からDF中谷颯辰が蹴り込み、1-2として前半を終えた。

 静岡学園の川口修監督はハーフタイムに「まず中盤での球離れを早くして、しっかりとボールを動かす。そうすればサイドが空いてくる」と指示を送り、後半開始から選手交代と中盤の配置転換で動く。ボール支配率を高めて主導権を握ると、61分にはFW加納大が鮮やかな左足シュートを決めて同点とした。

 その後は青森山田も踏ん張り、一進一退の攻防が続いたが、85分に静岡学園が逆転ゴールを奪う。左サイドでFKを得ると、ファーサイドへのボールをフリーの中谷がヘッドで決め、自身2点目。最初はニアサイドに行く予定だったが、「ファーサイドが空いている」と判断して走り込んだ判断が奏功した。

 その後は青森山田がパワープレーで同点を目指したが、静岡学園は気迫の守備ではね返し、そのまま試合終了。激闘を制した静岡学園が青森山田の連覇を阻止して、24年ぶり2回目の優勝を飾った。

 1995年度大会で初優勝したときは、鹿児島実(鹿児島)と延長まで戦って2-2で引き分け、当時の規定による両校優勝だった。2得点で悲願の単独優勝に貢献した中谷は「王国復活を目標に掲げてきたので、優勝できて最高にうれしい。自分がゴールを決めましたが、チーム全員のゴール。みんなに感謝しています」と最高の笑顔を浮かべた。
 


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