日本サッカー界で輝いた新旧のミッドフィルダーたちを綴る連載。第3回は「水を運ぶ人」へのリスペクトを込めて印象に残った選手たちを紹介していく。「縁の下の力持ち」だとされる常識を壊してくれた選手とは?

2020年の注目は東と戸嶋

画像: FC東京の主将としてチームをけん引する東慶悟(写真◎Getty Images)

FC東京の主将としてチームをけん引する東慶悟(写真◎Getty Images)

 そんな「仕事人」の系譜を継いだ現役選手の中で注目しているのが、東慶悟だ。

 ロンドン・オリンピック4強入りの立役者の一人で、大分トリニータ、大宮アルディージャを経て、現在はFC東京のキャプテンだ。2019年に初めてのリーグ優勝まであと一歩のところまで近づいた青赤にあって、その原動力は東のパワフルな走力にあったと感じている。

 ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑の超高速2トップと、シーズン前半まで攻撃のタクトを振るった久保建英(現マジョルカ=スペイン)のセンスが結果に直結していたのは言うまでもない。そのエッセンスはしかし、東が他の選手の分も走り抜いたから生かされたのだと言っては大げさだろうか。相手ボールを奪って2トップに速攻を促し、あるいは久保の足元にていねいにボールを預けて、攻撃の最初の一歩となった活躍ぶりは、味スタの住人ならば何度も目撃しているだろう。

 もう一人はJ1に昇格してきた柏レイソルの戸嶋祥郎である。ルーキーイヤーの2018年にアルビレックス新潟で早々にレギュラーとなり、2019年は途中からボランチのポジションに固定されて活躍、副キャプテンとしても苦境に陥ったチームを精神的に支えた。そのスタミナは圧巻で、比喩的にではなく、90分を通してピッチの危険な場所にどこでも顔を出す圧倒的な存在感がチームに勇気を与えた。

 今年は柏に引き抜かれる形で移籍し、ハイクラスの選手が揃う中でポジションをつかもうともがいている。凄まじい攻撃力を備えた「太陽王2020」の守備の負担を、一人で軽減するような活躍を見せるかもしれない。

 北澤、明神、酒井、熊谷、東、戸嶋と挙げてきたが、共通するのはスタミナと心身両面での真面目さと、そしてキャプテンシーだ。単に長く走れればいいわけではなく、誰よりも真面目であればそれでいいわけでもない。その両面をチームに余すところなく還元させるリーダーシップがあってこその「水を運ぶ人」なのだ。

 そんな彼らが、やっぱり好きだ。

画像: ルヴァンカップ開幕戦となったG大阪戦に後半から出場した戸嶋祥郎(写真◎J.LEAGUE)

ルヴァンカップ開幕戦となったG大阪戦に後半から出場した戸嶋祥郎(写真◎J.LEAGUE)


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