柏レイソルが、J1で唯一の開幕連勝だ。2月27日の明治安田生命J1リーグ第2節で横浜F・マリノスを迎えたホーム開幕戦。中村慶太の負傷により13分に出番が巡ってきた戸嶋祥郎は、スクランブル発進となった今季初出場にも持ち前の賢さで対応し、冷静に勝利をもたらした。

上写真=戸嶋祥郎は13分に急きょピッチに出て、今季リーグ初出場で勝利に貢献した(写真◎J.LEAGUE)

■2022年2月27日 J1リーグ第2節(三協F柏/8,918人)
柏 3-1 横浜FM
得点者:(柏)細谷真央、ドウグラス、小屋松知哉
    (横)アンデルソン・ロペス

「自分なりにフィーリングよく入れました」

 横浜F・マリノスを3-1で下した要因の一つに、柏レイソルのネルシーニョ監督はこのチームの揺るぎない哲学を挙げた。「常に準備すること」である。

「アクシデントには見舞われましたが、代わりに入った2人が役割を果たしてくれました。日々のトレーニングから献身的に励んでくれています。試合では何が起こるかわかりませんが、突如巡ってきた出場機会に向けていい準備ができているかどうか。それを体現できて、テンポを崩さずにいい入りができたと思います」

 試合前のウォーミングアップで大南拓磨にアクシデントが発生して、川口尚紀が先発。たったの5分で先制されると、今度は13分で中村慶太が負傷して戸嶋祥郎がスクランブル発進となった。落ち着きのない序盤の戦いからリカバーできたのは、この2人の冷静さにあったと、ネルシーニョ監督は称えた。

「ちょっと準備という意味では、なかなかできていない状況でした」

 当の戸嶋は苦笑いで、今季のリーグ初出場の裏側を正直に明かす。だからこそ、「相手の立ち位置を見ながら、守備で流れを作ろうとしました。エウベル選手や永戸(勝也)選手をうまく捕まえることを意識しました」とシンプルに整理できた。

 与えられたポジションも影響した。中村の代わりに入ったから、右のウイングバック。

「今年はほとんどやっていなかったと記憶しています。3ボランチの左や右が多かったので、久しぶりでした。でも、やることは常に一緒というか、ミーティングでも(動きは)把握していました。うまくはまったというよりは、自分なりにフィーリングよく入れました」

 無理なくほどよく、が逆に安定を生んだだろう。守備では5バックになるから、対面のエウベルや永戸の攻め上がりをケアして、「ゲームの中で修正できたことで、流れを引き戻す結果になりました」とチームの成長に手応えを感じた。

 41分には、見事な出足で相手の攻撃の一歩目のパスを奪いきってドリブルで持ち上がり、相手の寄せが甘いと見るや、そのままフィニッシュに持ち込んだ。だが、ゴールの上に飛んでいった。

「仕留めきる力をつけなければいけないし、数的優位になってから落ち着くのではなくて、11対11のときに違いを出さなければいけない、と感じた90分でした」

 これで、J1では唯一の開幕連勝を成し遂げた。相手のビルドアップのミスが2度、こちらの得点に直結し、相手が2人退場した上での3-1の勝利、という事実は事実として、そこで満足しない姿勢も、ネルシーニョ監督が植えつける哲学の一つである。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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