上写真=仙台とのマッチレースを制して広島がJ1初制覇を果たした(写真◎J.LEAGUE)
J1昇格プレーオフが大分が制す
J1リーグはこの年、終盤まで複数のクラブがタイトルを争いを演じるのではなく、最終的には2チームによる激闘が繰り広げられた。12節以降は、ベガルタ仙台とサンフレッチェ広島が首位争いを続ける展開となった。25節の直接対決で広島が仙台に勝利して首位に立つと、仙台と勝ち点1差の状態で臨んだ33節のセレッソ大阪戦で勝利。一方の仙台が新潟に敗れたため、初の年間優勝が決まった。
チームを率いた森保一監督は就任1年目での快挙にも「選手たちの頑張りが実った」と強調。エースの佐藤寿人やチームの柱である青山敏弘ら選手たちが自らの力を存分に発揮しつつ、チームの総合力で勝ち取った栄冠だった。ここから広島は黄金時代を築くことになる。
また、2012年はJ1昇格プレーオフが初めて開催された年だった。J2ではすでに、ヴァンフォーレ甲府と湘南ベルマーレが自動昇格を決めていたが、3位から6位の4チームで、この昇格プレーオフが行なわれている。
J2・6位の大分トリニータは初戦で3位の京都サンガを下し、決勝で5位のジェフユナイテッド千葉も撃破(千葉は初戦で4位の横浜FCを下していた)。まさしく下克上を成し遂げて、J1行きのチケットを手にした。
Jリーグカップは鹿島アントラーズが清水エスパルスを下して、2年連続5度目となる優勝。通算16冠目のタイトルを獲得し、常勝チームたるゆえんを示した。一方で天皇杯は、新王者が生まれている。前年にJ1優勝を果たした柏レイソルが、決勝でガンバ大阪を下し、初めて天皇杯を掲げた。また、決勝で敗れたものの、G大阪はJ1で17位に沈み、クラブ初の降格が決定している中で準決勝を勝ち切り、意地と誇りを示したファイナル進出でもあった。
■平成24年度の主な出来事(2012年シーズン)
・1月9日 澤穂希が女子の「FIFA最優秀選手賞」をアジア人として初受賞
・3月3日 ゼロックス杯で柏が初優勝
・3月10日 Jリーグ開幕
・3月14日 U-23代表がアジア最終予選でバーレーンを下し、ロンドン五輪出場を決める
・4月1日 Jリーグを管理する社団法人日本プロサッカーリーグが、プロスポーツ団体として初めて公益社団法人に移行
・6月5日 香川真司がマンチェスター・U(イングランド)に移籍
・6月24日 日本サッカー協会の新会長に大仁邦弥氏が就任
・7月2日 ロンドン五輪代表メンバーを発表。OA枠で吉田麻也、徳永悠平を招集
・7月21日 東日本大震災復興支援Jリーグスペシャルマッチが開催され、ゲスト選手としてデルピエロが出場
・8月9日 ロンドン五輪女子決勝で日本女子がアメリカに敗れ銀メダル獲得
・8月10日 ロンドン五輪3位決定戦で日本男子は韓国に敗れる
・9月8日 U-20女子W杯(日本大会)で日本が3位に
・9月9日 なでしこリーグ杯はベレーザが優勝
・10月4日 U-17女子W杯(アゼルバイジャン大会)で日本が準々決勝敗退
・10月16日 遠藤保仁が国際Aマッチ通算123試合出場。井原正巳を抜き、歴代最多記録を更新
・10月24日 全日本女子選手権の優勝チームが皇后杯を賜ることになり、大会名が変更される
・10月28日 なでしこリーグ1部はINACが2年連続優勝
・11月3日 ナビスコ杯決勝で鹿島が清水を下し、2年連続5度目の優勝
・11月23日 大分が初のJ1昇格プレーオフを制する
・11月24日 広島がJ1初優勝
・11月24日 中山雅史(札幌)がJ1最年長出場記録(45歳2カ月1日)を更新
・12月12日 クラブW杯に広島が出場し、5位となる
・12月16日 高円宮杯(U-18)チャンピオンシップは広島ユースが3年連続で優勝
・12月24日 皇后杯でINACが3連覇を達成(第34回)
・13年1月1日 天皇杯で柏が初優勝(第92回・12年度)
・13年1月6日 大学選手権で早稲田大が5年ぶり12回目の優勝(第61回・12年度)
・13年1月19日 高校選手権は鵬翔高が京都橘を下して初優勝(第91回・12年度)