上写真=完全アウェーの中国で日本はアジアカップ優勝を成し遂げた(写真◎サッカーマガジン)
伝説のPK戦、川口能活の神セーブ
日本代表は「熱い」夏を過ごした。中国でのアジアカップは、政治問題により急速に高まった開催地の反日感情による完全アウェーの雰囲気に苦しめられながらも、劇的な勝利を重ねた。
オマーン、タイに連勝し、イランとは引き分けたがグループステージを首位で突破。ヨルダンとの準々決勝では、歴史に残る激闘を演じる。1-1のまま突入したPK戦では、1人目の中村俊輔、2人目の三都主アレサンドロが連続で失敗。相手に先行を許す形になったが、ここで、主将の宮本恒靖が左利きの2人の軸足がキックの際に芝に取られたことを主審に主張。使用するゴールを反対側に変更させる。だが、ヨルダンは3人目まで連続で成功。日本も3人目の福西崇史、4人目の中田浩二が決めたが、2-3でヨルダンの4人目が成功すれば、敗退する状況に追い詰められた。
この絶体絶命のピンチを、GK川口能活が神懸かり的なセーブで切り抜ける。相手の4人目を見事にストップ。日本の5人目の鈴木隆行が決め、相手の5人目が枠を外す。この時点で日本は3-3とし、サドンデスに持ち込んだ。6人目の中澤佑二が失敗し、三たび決められれば敗退となったが、川口がまたも相手のキックを読み切ってストップ。日本の7人目の宮本が決めたのに対し、ヨルダンの7人目はポストに当てて失敗。日本は劇的な展開で、ネクステージの扉を開けた。
準決勝は延長戦までもつれ込むシーソーゲームの末にバーレーンを撃破。決勝では開催国の中国を3-1で下し、見事に大会連覇を飾った。
同じ8月にはアテネ・オリンピックが開催され、日本女子代表は初戦でスウェーデンに勝利し、ナイジェリアに敗れたものの(グループステージは3チーム)、決勝トーナメントに進出。アメリカに敗れてベスト8敗退となったが、リーグにもその愛称が冠せられた「なでしこ」躍進の印象を残した。
■平成16年度の主な出来事(2004年シーズン)
・2月1日 神戸が新会社「クリムゾンフットボールクラブ」(三木谷浩史社長)に営業権を譲渡
・3月6日 ゼロックス杯はPK戦の末に磐田が横浜FMに勝利
・3月13日 Jリーグ開幕
・3月13日 森本貴幸(東京V)がJ1最年少出場記録(15歳10カ月6日)を更新
・3月18日 日本がUAEを下し、アテネ五輪のアジア地区予選を突破
・4月24日 日本女子がアテネ五輪出場決定
・6月26日 横浜FMがJ1・1stステージ優勝
・7月3日 オールスターは初の引き分け
・7月16日 アテネ五輪代表メンバー発表。OA枠に小野伸二、曽ヶ端準が入る。高原直泰は体調不良により選ばれず
・8月7日 日本がアジアカップ2大会連続3度目の優勝
・8月8日 インターハイは国見高が2大会連続、大会史上最多5度目の優勝
・8月15日 アテネ五輪で日本男子が2連敗。グループステージ敗退が決まる
・8月20日 アテネ五輪で日本女子が初のベスト8
・9月1日 松井大輔がルマン(フランス)へ移籍
・9月19日 Lリーグの愛称が「なでしこリーグ」と制定される
・10月11日 高円宮杯(U-18)は広島ユースが初優勝
・10月31日 1部・2部制で行なわれたLリーグ(なでしこリーグ)が閉幕。さいたまレイナスが1部リーグ初優勝
・11月3日 FC東京がナビスコカップ初優勝
・11月8日 大久保嘉人がマジョルカ(スペイン)へ移籍
・11月20日 浦和が2ndステージ優勝
・12月4日 新潟県中越地震復興支援チャリティーマッチを開催
・12月8日 澤穂希がAFCアウォーズで、アジア女子MVPに選出される
・12月11日 Jリーグチャンピオンシップは横浜FMが浦和を下し、2年連続で年間チャンピオンに輝く
・12月12日 最後のトヨタカップが開催され、FCポルト(ポルトガル)が優勝を飾る
・05年1月1日 天皇杯は東京Vが優勝(第84回・04年度)
・05年1月1日 全日本女子選手権の決勝を、天皇杯決勝の前に国立で開催し、ベレーザが優勝(第27回・04年度)
・05年1月10日 高校選手権で鹿児島実高が優勝(第83回・04年度)
・05年1月16日 大学選手権で駒澤大が3年ぶり4回目の優勝(第53回・04年度)