■2018年7月28日 J1リーグ第18節
広島 1-4 浦和
得点者:(広)千葉和彦
(浦)興梠慎三2、宇賀神友弥、ファブリシオ
浦和がアウェーで首位・広島に快勝した。今季最多の4得点を奪うゴールラッシュを締めくくったのは、ロシアW杯による中断期間中に、ポルティモネンセ(ポルトガル)から加入したFWファブリシオ。かつて鹿島でプレーした経験を持ち、前節に浦和でのデビューを飾ったブラジル人アタッカーが、2試合目で早くも結果を出した。
※試合終了直前にダメ押しの4点目を決めたファブリシオ⑫
写真◎J.LEAGUE PHOTOS
右手で示した「L」サインの意味は?
この日、前節に続いて先発出場となったファブリシオは、序盤は攻め手を見いだせなかった浦和にあって、スピードに乗ったドリブル突破やポストワークで存在感を放っていた。25分には右サイドで2人に囲まれながら、うまく間を縫って武藤雄樹にパスを通し、興梠慎三の先制点を演出。2-1とリードして迎えた76分には、カウンターから右サイドに抜けた柏木陽介にパスを送ったプレーが、宇賀神友弥の3点目につながった。
さらに試合終了直前の90+5分には、左サイドからドリブルで中央に進み、ゴール正面約25メートルから右足を一閃。「コースは見えていた」と振り返るシュートは正確にゴール右下スミを突き、広島GK林卓人の足元を破ってネットを揺らした。
直後に試合終了のホイッスル。正真正銘のラストプレーで浦和での初ゴールを決めたファブリシオは、浦和のファン・サポーターが陣取るスタンドに向かい、右手の親指と人差し指で「L」サインを作った。どんな意味があったのだろうか?
「7月18日に息子が生まれて、ロレンゾと名付けたから、頭文字なんだ。とてもうれしいし、自分がこの先も頑張るための力になるね。奥さんと一緒に、まだポルトガルにいるから、写真を毎日送ってもらっているよ。もう何枚送ってもらったのか分からないくらい」
ただ、子どもが生まれたときのゴールパフォーマンスといえば、『ゆりかご』が定番だ。それをしなかったのは…?
「試合終了間際だったから、体力的に厳しくて、サポーター席の前まで行けなかったんだよ(笑)」
息子のことを差し引いても、初ゴールの喜びは格別。「浦和で初ゴールを決めることができて、とてもうれしい。チームの勝利に貢献できたし、広島まで足を運んでくれたファン・サポーターの皆さんにも喜びを与えることができたと思う」と振り返る表情は笑顔に満ちていた。この日2得点を挙げた興梠との連係についても「シンゾウは素晴らしい選手。練習と試合は別物で、試合でお互いのことを少しずつ理解できるようになっているし、特徴も一つずつ確認できている。僕が加わることで、彼が少しでも楽にプレーできるようになればいいね」と手応えをつかんでいる。
「次の試合でもゴールを決めて、『ゆりかご』をやりたいね」
第一子となる息子の誕生でモチベーションが高まっているファブリシオの存在は、低迷した前半戦からの巻き返しを図る浦和にとって、この上なく大きなものとなりそうだ。
取材◎石倉利英