■2018年5月2日 J1リーグ第12節
川崎F 0-2 浦和
得点者:(浦)興梠慎三2
浦和が4試合ぶりの勝利。序盤から手堅い守備から鋭い速攻でチャンスをつくった。15分には宇賀神友弥のクロスを興梠慎三が左足ボレーで決めて先制。後半も足を止めずに粘り強く守り、一瞬のスキを突く。50分にナバウドが裏に抜け出すと、低いクロスで興梠の2点目をお膳立て。65分からCB岩波拓也を入れて、守りを固めて逃げ切った。オリヴェイラ新体制となり、3戦目で初白星。川崎Fは5戦ぶりの黒星。2点を追う70分にGKチョン・ソンリョンの退場となったのが痛恨だった。浦和を上回る13本のシュートを放ったものの、ゴールが遠かった。
陰の功労者は「当たり前のことをしただけ」
圧巻の2ゴールで主役となった興梠が大勢の報道陣に囲まれるなか、陰の功労者は端のほうで静かに取材に応じていた。中盤の底に入った青木拓矢は、オリヴェイラ新体制で初先発。相手の司令塔に仕事らしい仕事させず、2試合連続で失点していた守備陣を落ち着かせた。
「全体のバランスを取りながらも、中村憲剛選手の動きには注意していた。ボールが入ったときは、しっかりと体を寄せることができた。まあ、それが僕の仕事ですけどね。ボランチとして当たり前のことをしただけ」
地味な仕事を黙々とこなす職人は、淡々と4戦ぶりの勝利を振り返った。勝っても浮かれることはない。新体制では2試合続けてベンチに座り、出場機会はなし。それでも、準備を怠ることはなかった。守備ブロックに穴ができる前にすばやく対応。終了の笛がなるまで足を止めず、後方から飛び出してくる選手も逃さずつかまえた。
「僕が試合に出たときは結果を残したいと思っていた。個人としても、チームとしてもね」
昨季は余人を持って代えがたいアンカーとして、ACL制覇に貢献。決してプレーは派手ではないが、いぶし銀の働きはいまのチームにも欠かせないことをあらためて証明した。それでも、本人に満足感はない。
「中断期間までは全部勝たないといけない。僕らはここから勝ち点をもっともっと積み上げていかないと」
5日の鹿島戦に向けて、すぐに前を向いた。浦和に移籍して5年目。「面白かった」と目を輝かせるアジアの舞台に再び立つために、改善すべきことは少なくない。現在は11位。目指すべき位置にたどり着くまで足を止めることはない。
取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE PHOTOS
※写真後列右が青木拓矢(背番号16)