イングランドのチャンピオンシップ(2部)で25年ぶりのプレミアリーグ復帰に邁進するコベントリー・シティでチームを牽引する一人が、坂元達裕だ。現在、チームは首位に立ち、次節にも昇格が決まる。加入3年目のシーズンを戦うウイングを、現地で取材活動を続ける山中忍氏が迫った。

上写真=右ウイングとしてコンベトリーを牽引する坂元達裕(写真◎Getty Images)

ウィリアンを思い出させる右ウイング

 フランク・ランパード率いるチームで、休まずに汗を流す小柄なウインガー。カットインから利き足で相手ゴールを脅かし、攻守が入れ替われば、プレスバックはもちろん、自陣深くまでのチェイシングも怠らない。筆者にとっては、チェルシーの正監督だったプレミアリーグ2019—20シーズン当時のウィリアン(現グレミオ)の姿と重なる。

しかし、それは今、チャンピオンシップ(2部)のコベントリーで右ウイングを定位置とする坂元達裕のイメージに他ならない。

 残念ながら、チームが25年ぶりのプレミア復帰決定まで1ポイントと迫った、4月11日の第42節シェフィールド・ウェンズデー戦(0—0)は欠場となった。前月からの6試合で3得点を上げてもいたことから、余計に惜しまれる。だがこれも、言わば名誉の負傷によるもの。91分間ピッチに立っていた前節ハル戦(0—0)で、肋骨を痛めていたことが理由とされる。

 勝てば、自動昇格(トップ2)が決まる可能性もあったホームゲームで、チームの力になれなかった当人のもどかしさは推して知るべし。坂元は「サッカー人生の集大成」との意気込みで、今季終盤戦を戦っているのだ。3月14日の第38節サウサンプトン戦(1—2)後に言っていた。

「僕は、プロになってから大きなものを何も成し遂げたことがない。優勝とか、昇格とか、カップ戦でも(タイトルを)獲ったことはないですし、なかなかうまくいかない時期を、もがいてもがいて乗り越えながら、なんとかここまでステップアップしてきた。(残る2カ月で)僕に何ができるのか、チームとして何ができるのか、何を達成できるのかが凄く大事になる」

 坂元は、その静かな語り口もウィリアン風だ。当時31歳ながら、ランパードが主に右ウイングで頼りにしたブラジル人ウインガーは、囁くような小声で記者泣かせだったのだが、29歳の日本人ウインガーは、穏やかなトーンでゆっくりと話す。その目元に感情を覗かせながら。

 例えば、サウサンプトンの右ウイングで先発して2得点に絡んだ、松木玖生に触れた時だ。

「22歳の若さで、このリーグで戦えていることが本当に素晴らしい。あの年代で、ここのリーグでしっかりと試合に出て経験を積めることがどれほど価値があるか、僕は遅くにこのリーグに来て凄く感じるので、羨ましいなとも思います。明るい未来が待っていると思うので、頑張ってほしい」

 敗戦後も、後輩にエールを送る彼の目は優しかった。対照的に、連勝が「6」で止まった自軍に関しては、キリッと目元を引き締めて言った。 

「勝つべき試合だったと思います。転機はミドルズブラ戦だったと思いますけど、大一番でしっかりと勝ちをもぎ取って今に戻ってきているので、今日みたいな負けもあるとは思いますけど、どうチームとしてリアクションできるかが大事だと思うし、今の僕らにはできる自信がある」


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