日本代表に「入りたい」けど今は昇格が目標

プレーするたびに坂元の存在感は増していった。プレミア昇格は秒読みだ(写真◎Getty Images)
その指揮官は、自身の輝かしいキャリアの根底にもハードワークがある。20年ほど前のことになるが、彼の生家に父親のフランク・シニアを訪ねた際、少年時代の“ジュニア”は、「ピッチ上をジョギングシューズで走るわけじゃないだろう?」という、元イングランド代表DFでもある父の意見を汲み、学校とチーム練習から戻ると、スパイクを履いて近所にある芝の広場を走っていたと聞いた。決して天才タイプではなかったが、人一倍の努力で、持てる力を最大限に伸ばしてきた人物なのだ。
そんなランパードという監督の魅力を坂元に尋ねると、次のような答えが返ってきた。
「もちろん素晴らしいことも、そして苦しいこともいろいろと経験してきていると思うので、僕らの気持ちも多分、誰よりもわかっていると思う。サッカー選手として一番大事なのは、沈んだ時にどうリアクションするかだと思うんです。そこで戻ってこられる選手が、上に行くと。監督は常にそれを言っていましたし、(首位を快走した)前半戦の時期がずっと続くわけではないっていうことも。僕らは監督を信じていましたし、そこ(好調時)に戻れると信じていた。気持ちの部分は大きいと思うので、士気をしっかりと上げてくれる監督に凄く感謝しています」
前述のサウサンプトン戦後のやり取りだったのだが、今季最後の代表ウィーク前だったことから、5年ぶりとなる日本代表復帰への思いにも触れてくれた。
「そこに対しての目標というか、入りたいっていう気持ちは少なからずありますけど、とにかく今年は、チームとして昇格することだけを目標としてやってきている。もちろん、入れたら嬉しいですけど、入れなかったらそれなりの理由があるのだと思うし、そこは僕も理解します。年齢も年齢ですし。自分がもっともっと絶対的な結果を残していれば、そこは自ずと見えてくる。僕は常に、自分の中にはまだまだ何か足りないって思いながらプレーしているんです。もっともっと結果を残せるようにやっていかなきゃいけない」
このひた向きな姿勢も、やはりウィリアンを思わせる。ファンには、「サカモトがウイングでボールを持てば得点の予感がする」と歌われるチャントで称えられる。逆サイドからのクロスに果敢に飛び込むヘディングや、精力的なプレッシングによるボール奪取にも歓声が起こる。
本人は先頃、クラブ公式YouTubeチャンネルで公開された映像で、コベントリーへの思いを語っているが、現契約は、30歳になるシーズンでもある来季末まで。次節、4月17日のブラックバーン戦で負けなければ、昇格の目標が達成される。来季はプレミアを戦うランパード軍で、日本人右ウインガーが披露するさらなる「集大成」が楽しみだ。
取材・文◎山中忍
