上写真=旗手怜央はコンディション調整の重要性を感じて、「熱を体からすぐに出す」ことを意識しているという(写真◎スクリーンショット)
「できないことに対して目をそらしてはいけない」
東京オリンピックという大舞台を目前にして、旗手怜央が改めて戻る場所は「止める蹴る」である。
「Jリーグでも長い時間、出続けてきて、ACLでもそうだったので、すごく自信はあります」とスタミナに絶対的な自信があるからこそ、何度でも立ち返るのが技術という原点だ。6月シリーズの課題を、その精度の部分に求めている。
「攻撃ではもっと得点を取るチャンスがあったし、最後は個人の質の部分だと思います。そこまでまず行けるような状況を作りつつ、最後はパス、シュート、トラップでそれぞれが個人の質を高めることが、一番大事になると思います」
技術においては世界最高峰にあるU-24スペイン代表との7月17日の試合が、本番前最後のテストの場。「正直、楽しみです。マッチアップするのが世界を代表する選手ばかりで、ワクワクしています」と目を輝かせる。
川崎フロンターレの一員として、ウズベキスタンのタシケントで行われたACLで中2日の6連戦を戦い抜いた。旗手は4試合でプレーしている。帰国後にU-24日本代表に合流したので、12日のU-24ホンジュラス代表戦は欠場、このU-24スペイン代表戦が旗手にとっての「最初で最後の対外試合」ということになる。
「自分自身、オリンピック前に試せる場でもありますし、オリンピックが終わったあとの人生を考えてもすごく大事な一戦になるので、持っている力をすべて出して挑みたいなと思います」
「できることもあると思うけど、できないこともあると思います。そこでできないことに対して目をそらしてはいけないので、しっかり試合中に分析しつつ、楽しみながらやっていければいいと思います」
ワクワク感は、そのまま本大会にも持ち込みたい。本来のアタッカーの位置だけではなく、川崎Fで経験を積んだ左サイドバックでの起用も考えられているので、その対応力、プレーの幅がチームを救うことになるだろう。
「まだ正直、実感がわかない」と笑って本大会直前になっても自然体だが、「国際舞台を経験できることはなかなかないし、オリンピックという素晴らしい場だと思うので、そこに向けてしっかりやりたい思いではあります」との意欲も明かす。
これまで培ってきた「止める蹴る」の威力を、世界の舞台で披露するときがもうすぐやってくる。