上写真=強豪アルゼンチンを無失点に抑えた谷晃生。上々の「デビュー」となった(写真◎Getty Images)
■2021年3月29日 国際親善試合(@北九州スタジアム/観衆:7,302人)
U-24日本 3-0 U-24アルゼンチン
得点者:(日)林大地、板倉滉2
「やっぱりまだ始まったばかりなので」
GK谷晃生の64分のビッグセーブは、勝利への大きなポイントだった。45分に林大地が決めて日本が1-0で折り返す中、前の試合でガイチのゴールを見事にアシストしたバルガスを後半から投入するなど、アルゼンチンも逆襲を仕掛ける時間帯。
そのバルガスとガイチのホットラインがまたもや開通したのだ。
日本から見て右からバルガスが中央へ横パス。受けたガイチが板倉滉を左にかわしてから、低く鋭い右足のシュートをゴールの左ギリギリのところに送り込んできた。素晴らしいフィニッシュだったが、谷は反応良く跳んで、難なくその両手にボールを収めた。
「チームがいい状態でゲームを進めていて、あれだけシュートが飛んで来なくて自分がプレーすることがない中で、来るだろうなとは思っていたし、そこで集中を切らさずにやれたのがあのプレーにつながったと思います」
「チームを勝たせるキーパーになりたい」というのが谷のポリシーだが、このシュートがもし入っていたら1-1となって、その後の展開も変わっていたはずだ。しっかりとセーブすることで、板倉の2つのゴール――この4分後の追加点と73分のダメ押し点につながっていった。まさに「チームを勝たせるセーブ」だった。
このチームでは、昨年のAFC U-23選手権で出場した大迫敬介がGKの第1候補と考えられる。実際に今回のアルゼンチンとの第1戦も、大迫がゴールマウスを守った。その直後のゲームで谷が無失点勝利をもぎ取ったのは、大きな自信にしていい。
「この五輪世代の代表に何回か呼んでもらってはいたんですけど、試合に出ることはかなわなくて、僕自身、こういった試合で初めてスタメンで出るということで、自分のプレーを思い切ってやろうと思いました。アグレッシブに積極的に自分の良さを出して、最後尾からしっかり声をかけて、統率してやれれば全然できると思ったので、そこのところは自信を持ってやりました」
声をかけて、というところが大きなポイントになるだろう。どうしてもともにプレーする時間が短くなるのが代表の宿命で、だからこそGKとDFのコミュニケーションの密度がそのまま守備の安定につながっていくことになる。
「代表チームになると、普段やっている選手とは違いますし、よりアラートになるというか、声を掛け合って、できるだけコミュニケーションを取ってやっていたので、そこは良かったと思います」
まずは大迫への挑戦状を獲得したというところだろうか。クラブに戻って、さらに高めていく時間が待っている。
「やっぱりJ1という舞台で自分が試合に出ることを目標にして、湘南に移籍した去年、実現できた中で、このチームにつなげていきたいという思いは強かったんです。それが今日、こうやってデビュー戦を迎えられたということは、湘南ベルマーレにも感謝しています。ただ、やっぱりまだ始まったばかりなので、ここからもっともっと自分を良くして、ここ(U-24代表)でもしっかりと試合に出場できる機会をもっともっと増やせるように、これからもやっていきたいと思います」